映画『転山』
物語のあらまし
ある24歳の若者が、寒さが迫ってくる10月という時期に、ひとり雲南省の麗江からチベット自治区のラサまで自転車で向かった。彼は、自分の力や勇気を証明するために旅を続けたのではなく、自信と懐疑の間でゆれる中での道のりを積み重ねた末、最後に彼は旅を貫徹する決定を下した。それは、人生に近道はなく、貫き通すことこそが勝利だということを理解したからだった。
ストーリー
書豪は24歳になる台湾の大学生で、いつも部屋にこもってオタク生活をしている。しかし、子どものころから尊敬していた兄の書緯がチベット自治区のラサへの自転車ツーリング中に事故死したことで、深い衝撃を受ける。そして、家族や友人の制止を振り切り、毅然として亡き兄の遺志を継ぎ、自らを証明するために、自転車による苦難の旅に出発するのだった。
ところが、経験のとぼしい書豪は、出発前にもう旅行そのものをぶち壊しにしてしまいそうになる。幸いにも途中で、目的地を同じくする暁川という道連れに出会い、経験面と精神面で大きな支持を得る。ふたりは行動をともにし、農家に民泊させてもらい、善良で温かいチベット族の若い妻、ごちそう、優しい老人などと出会う。書豪は少しも寂しさを感じることがなかった。
しかし、そうした楽しい時間は長続きはしなかった。ある夕暮れ、暁川が崖から転落し、書豪もあやうく命を落としかけたのだ。この突然の事故は、書豪の自信を大きく傷つけ、彼は旅行の意義について考え直し始めるのだった。そして、書豪は暁川との旅の中でのさまざまな出来事を思い返し、決意を新たにし、ひとりラサに向かう旅を続ける。
その後の旅で、書豪はチベット犬と野犬の挟み撃ちのピンチから危うく逃げ出したり、食べ物にあたって丸2日間も下痢と嘔吐に苦しめられたり、また敬けんな祈りを捧げるチベット族の母娘に出会ったりという経験をした。海抜5000メートルのセチラ山(色季拉山)口では、書豪はチベット族に贈られた色とりどりの旗を空中に放ち、手を合わせる。彼は、高原を越えてきて得た心の平静を感じるのだった。
ポタラ宮にたどり着いた後、書豪は今回の寂しい旅は、実は喜びや悲しみに満ちていたことを改めて感じ、同時に人生に新たな意義を見出していた。台湾に帰った後、大学院に進む準備を始めた書豪は、暁川からの手紙を受け取った……。
監督について
杜家毅(ドゥ・ジャーイー)監督は上海で生まれ、幼いころから父親について映画館に通い、映画界に進む志を持つようになった。19歳でひとり北京に向かい、俳優や司会者、脚本家やプロデューサーを経験。専門の教育を受けていないにもかかわらず演技の才能に優れ、映画『こころの湯』(1999年)でシャワーを浴びながら『オ・ソレ・ミオ(私の太陽)』を歌う太った若者役で注目を集めた。中国映画界の巨匠・何平監督はその才能に注目し、『麦田』(2009年)では彼を主演の一角に起用している。『転山』は杜家毅にとって初監督作品であり、長年温めてきた企画でもある。
杜家毅・主要作品
『花の生涯〜梅蘭芳〜』(プロデューサー)
エグゼクティブ・プロデューサーについて
陳国富は新主流映画運動の創始者、啓蒙者である。監督、脚本家、プロデューサーとして、映画界で幅広く活躍、20年来中国映画市場に大きな影響力を持ってきた人物である。
陳国富・主要作品(プロデュース)『戦場のレクイエム』『ドラゴン・キングダム』『ココシリ』
制作会社について
北京太合環球影業投資有限公司(略称:太合影業)は、太伝媒投資有限公司旗下の全額出資子会社で、2007年に設立された。前身は北京太合影視投資有限公司(略称:太合影視)。
国内の歴史ある映画機関として、太合は2000年から投資・出品にかかわり、『ハッピー・フューネラル』、『手機』(日本未公開)、『イノセント・ワールド-天下無賊-』などの作品に出資してきた。これらは興行的にも成功し作品的にも評価が高い。
続いて、太合影業は積極的に映画の新たな題材、新たな構想、新たなチーム、新たな販売方式を探求し、『ココシリ』、『独り、待っている』、『我心飛翔』(日本未公開)、『陽もまた昇る』、『ソフィーの復讐』などのモデルとなるプロジェクトを成功させてきており、しっかりと中国市場に根を張ったビジネスを展開している。
同時に、全産業チェーン式企業形態を作り出し、映画投資、制作、発行、セールスなど各機能を統合し、強い競争力を有している。一方で、開放式モデルによってフォン・シャオガン、ルー・チュアン、ジャン・ウェン、ガオ・シャオソン、陳国富ら著名映画人と連携するほか、ウー・アルシャン、杜家毅らの新人を大胆に起用するなど、人材を育て、業界のために新鮮な血液を注入している。
国際的な連動
国内の堅実な基礎の上に、太合影業はこの数年来香港・台湾地区および海外市場の開拓プロジェクトを展開し始めている。
太合影業は、海外のつながりを持つ経験豊富なトレーダーのもと、2010年には台湾のベストセラー小説『転山』の映画化プロジェクトをスタートさせ、2011年には日本映画『GOEMON』(ゴエモン)の中国大陸部での配給(中国では『侠盗石川』)、宣伝プロモーションを行う。同年、台湾映画界の重鎮・徐立功が設立した唐盟国際影視と共同で映画『飲食男女―好近又好遠』(アン・リーが監督した『恋人たちの食卓』の『2』にあたる)に投資、イタリアやフランスなど多くの海外映画製作会社との協力も展開している。
企業として追い求める「品質の高い商業映画」の理念に基づいて、太合影業は高い品質を保つと同時に、積極的に映画市場の商業的空間を探り、豊富なタイプの映画を制作し、良心的で見ごたえのある映画作りにまい進している。
人民中国インターネット版 2011年10月25日
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