芳醇な茶葉
改革開放の風は、湄潭の製茶産業にさらなる活力を注いだ。特に1985~1988年の間、胡錦濤氏が貴州省党委書記を務めていたとき、3回も湄潭を訪れて視察を行った。「湄潭の人々は、38万ムーの稲田だけに目を向けるのではなく、1845平方㌔に及ぶ土地にも注目すべきだ。茶葉の生産を大いに発展させることによって生活が豊かになり、県の経済力を高められるだけでなく、自然環境の保護にもつながる」と胡錦濤氏は指摘した。その後、湄潭は農業生産構造を調整し、「耕地から茶畑への転換」、また茶の栽培、製造、販売を促すさまざまな政策を実施し、製茶産業が大いに発展した。
栗香茶業集団公司は、湄潭にある40社を超える茶葉関連企業の中でも代表的な存在だ。代表取締役の譚書徳氏は退役した軍の将校で、1988年に公務員を退職して、茶の栽培事業に参入した。二十数年の努力を経て、今では茶の栽培、銘茶の製造、販売、良質な茶の苗木栽培および茶園エコツアーをトータルに手がけるようになり、中国茶葉業界のトップ百社に名を連ねる企業へと成長した。
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湄潭の「茶海」で芽吹いた茶の新芽 |
面白いことに、譚氏は軍隊の管理方式を会社に導入し、組織構造からコーポレートガバナンスに至るまで、厳しく管理することによって会社の業績が日を追うごとに向上した。ここ数年、会社が管理する茶園と工場は拡大を続け、栽培された良質の茶の苗も貴州各地の茶園で販売されている。
特筆に値するのは、湄潭の人々は茶園の生態環境を重要視していることだ。茶海では、農薬使用禁止の標識が立てられている。茶の木に害を与える昆虫の天敵を活かし、虫を以って害虫を抑えている。彼らは、毛虫の性フェロモンを使用した誘引剤を茶園に設置して(茶葉と接触させない)雄の成虫を駆除したり、また昏睡状態に陥らせて、雌の成虫との生殖行動を妨げることにより害虫を減らしている。科学的な方法による防虫・殺虫を行っているため、湄潭は中国の「無公害茶葉の生産地」となった。
栗香社の茶博士は精巧な茶具とこだわりある手法で、自社生産の「湄潭翠芽」をいれてくれた。緑茶のすがすがしい香りが漂い、何口か茶をすすって、口の中に広がる香りや味の余韻を楽しんでいると、やはり薄い栗の味がする。「なぜ栗の味がするのか」と聞いたところ、企業秘密なのか彼は何も言わずにただ微笑むだけだった。 現在、湄潭の20万ムー(約130平方㌔)を超える茶園の年間生産量は7000㌧を超えた。そのうち、「湄潭翠芽」などの銘茶は全国各地で販売されている。
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