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レポート 2015春節映画興行

盛況に沸く北京のシネコンをめぐる!

 

10年前の1年分を1週間で稼ぎ出す!!

日本の正月興行に相当する中国の春節映画興行が絶好調だ。18日の旧暦大晦日から24日までの7連休の間に4300万人を動員、17億5000万元の興行収入を記録した。実は大作は春節当日の19日から上映され、この日1日だけで興行収入3億5600万元と、『トランスフォーマー ロストエイジ』公開日の2億7800万元を大きく上回り歴代最高記録を更新した。19日から連休明け25日までの7日間の興行収入は約19億3000万元と、2005年全年の記録にほぼ並んだというから驚きだ。
最近では珍しくチケット・カウンターに長い列が見られた(新華国際影城大鐘寺店)

春節当日からはアニメを含めて8作品が公開されたが、最もヒットしたのはジャッキー・チェンが漢代のシルクロードを舞台にローマ軍と戦う『天将雄師』だった。続いて、チョウ・ユンファがスーパーなギャンブラーに扮するハチャメチャ喜劇『澳門風雲Ⅱ』、当代きってのイケメンであるチェン・クンが醜い姿で有名な鍾馗様に扮する『鍾馗伏魔:雪妖魔魂』、内蒙古の生産隊に入った知識青年とオオカミの触れ合いを描いたベストセラー小説の映画化『狼図騰』と続き、テレビバラエティーをそのまま映画化した『爸爸去哪児2』、海外ロケ満載でパイロットの華麗な恋模様を描いた香港映画『衝上雲宵』を含めた6作品が春節連休中に興行収入1億元を突破するという史上初の快挙が達成された。これまでのように1、2作が興行を制するというのではなく、多くの作品が受け入れられた非常に珍しいケースで、春節興行自体が勝利した形になった。

これにはいくつかの理由が考えられる。まず、経済発展によって生活様式が多様化し春節に外出してレジャーを楽しむ人が増えていることがある。そして、ご覧のように今回はバラエティーに富んだ作品が並んだ。記者も6作すべてを鑑賞したが、どの作品もそれなりに見どころがあり、観客も楽しんでいた。また大気汚染の問題から花火に対する規制も厳しくなり、安全問題から廟会(春節の縁日)も中止や縮小が相次いだ結果、家族そろってのレジャーでは映画が最も注目されることになったようだ。さらに地方都市における映画の隆盛も見逃せない。以前は地方都市にはほとんど映画館がなかったが、現在は次々とオープンしている。すでに全国には約2万5000スクリーンがあり、地方在住の人が映画館で映画を楽しむようになっている。この春節には帰省先で家族や地元の友人と映画を見る人も多かったようだ。

 

ロビーにはちょうちんも飾られ春節らしい雰囲気を演出(博納国際影城旗艦店) 観客が列を作るチケットカウンターの横には売店の告知も(博納国際影城旗艦店)

 

実際の映画館の雰囲気はいかに?

多数の作品が上映されているため、ポスターが並べきれない状態(新華国際影城大鐘寺店)

 それでは、実際に映画館はどのような状況だったかというと、普段とは違った観客の姿が多く見られた。最近はネットで予約しロビーに並ぶチケットマシンで発券するスタイルが主流になっているが、この時期はチケットカウンターに長い列が見られた。普段はあまり映画館に足を運んでおらず、ネット予約を知らない、もしくは使いこなせないという層が大勢来ていたのだ。記者も春節当日の19日早朝から北京北三環にあるシネコン新華国際影城大鐘寺店に出かけたが、9時過ぎという早い時間に到着したにもかかわらずにロビーにはすでに大勢の人が上映を待っていた。午後、2本見終わってロビーに出ると、表の通路にまで人があふれていた。カップルから家族連れまで幅広い人がおり、子ども連れの家族が特に目立った。21日にはさらに早く、これも北三環のUME国際影城安貞店に8時半上映の回を見に行ったのだが、すでにロビーには大勢の子ども連れ客がいた。

最近ではこちらが主流の予約チケット発券機(UME国際影城安貞店) 

 そうした子ども連れの多くはアニメやテレビのバラエティー番組関連の作品を見に来ていたようだ。テレビのバラエティー番組をそのままお手軽に映画化したものが好成績を上げる昨今の傾向には、フォン・シャオガン監督なども疑問を投げかけている。これには記者も同感だが、映画館で満員の観客と一緒に鑑賞していると家のテレビで見るよりさらに盛り上がるのも事実。本当に楽しそうな人々を見ると、家族で楽しめる健康的なレジャーとしてバラエティー映画もアリなのではないかと感じてしまう。

22日の午後には、帰省しない北京っ子の同僚や日本人の映画仲間と連れ立って朝陽門近くの博納国際影城旗艦店で『狼図騰』を鑑賞したが、317席あるホールがほぼ満席だった。実は同作品は公開初日よりも後になるほど観客動員が増えるというパターンで推移しており、この春節で最も話題になった作品だ。同シネコンではロビーやホールに春節らしい飾り付けを施したり、飲料やポップコーンを低価格で提供するなどサービスに余念がなく、ここでは売店にも長い列ができていた。全国的に興行成績は好調だが、一方で次々と新しいシネコンがオープンして競争が激化しており、どこも顧客サービスに力を入れるようになっているのだ。

 

絶好調の陰には危惧される問題も!?

 

UMEカウンターショッピングモール内の他の施設はまだ開店していない朝8時過ぎだが、UME国際影城安貞店のチケットカウンターはこのにぎわい
23日には北京西駅に隣接する新しいシネコン世茂国際影城に行ってみた。同シネコンが入るショッピングモールの他の店舗はまだ休んでいるところが多かったが、ホールには大勢の観客がいた。他のシネコンでも同じだが、今では春節時期の映画館にこれだけ多くの利用客がいるわけで、それが商業施設全体の飲食や物販につながっていないのは、おおらかと言えばそれまでだが残念に思える。

さて、景気のいい話題ばかりしてきたが、実はそんな流れの中で、バレンタインデー向けに公開された『有一個地方只有我們知道』は2億7000万元というヒットにもかかわらず公開後10日ほどでほとんどの映画館で上映終了にされてしまった。全国一律の上映でムーブオーバー(別の館での続映)などの興行方式がない中国にあって、同作品は好調な春節興行のあおりを受けたと言えるかもしれない。記録ずくめの春節興行の中で、いささか気になる状況だ。というわけで、中国映画界が春節興行の勢いに乗って、ひつじ年を洋々たるものにできるのか引き続き注目していきたい。(文・写真=井上俊彦)

 

 

ビル入口の上方には世茂国際影城のオープンを告知する大きな看板が見られた。もともと映画館の少なかった北京市の西部だが、このところシネコンの開業が相次ぎ、もはや激戦区と言える状態だ 2月にオープンしたばかりの世茂国際影城のチケットカウンターはすっきり清潔な感じ。ポスターや掲示板から、開業に合わせてさまざまなキャンペーンを展開していることがわかる

 

関連情報:コラム 最新映画を北京で見る

http://www.peoplechina.com.cn/home/second/node_53703.htm

 

 

人民中国インターネット版 2015年2月27日

 

 

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