中国の南極調査隊、熱水と冷湧水の併存を初発見

2018-03-23 14:44:39

海洋総合調査船「向陽紅01号」の初の南極調査に参加した調査隊員によると、向陽紅01号は、中国の南極調査で手薄だった大西洋海域で、「海洋物理気象」「海洋地質」「海洋地球物理」「海底地形測量」「海洋化学生物生態」「海洋環境」の6学科分野の調査を行い、豊かな研究成果を上げた。とりわけ海底の熱水と冷湧水との併存は世界初の発見となった。

 

▽熱水と冷湧水の併存現象を発見

 調査隊を率いた国家海洋局第一海洋研究所の李鉄剛所長によると、向陽紅01号は20171230日、中国の第34回南極調査を開始し、海上で46日にわたる調査を行い、豊かな調査の成果を得た。調査隊員が上げた最も重要な成果は、海底の熱水と冷湧水が併存している現象を南極で初めて発見し、天然ガスハイドレートの形成と海底の熱水活動が密切に関係していることを示す直接の地質学的地球物理学的証拠を得たことだ。

 南極のある海域で、調査隊員は、海底地震や浅地層断面をはかる装置やテレビグラブなどの設備を用いて、異なる地質単位の海底堆積物を定点採取し、15カ所でのボックスコアラーによるサンプル採取、8カ所での柱状サンプル採取を完了し、熱水活動と冷湧水活動の産物を採取した。

 李所長によると、この2種類のサンプル最終地点はわずか200メートル前後しか離れておらず、同一の地質構造に属しており、熱水と冷湧水がともに生まれるシステムがあることを示している。冷湧水の形成にはこれまで、生物や熱分解などさまざまな成因が考えられてきたが、今回の調査成果は、海底冷湧水の熱成因に直接の証拠を与えるもので、さらなる研究に値する。

熱水と冷湧水は近年、国際海洋研究の焦点となっている。熱水噴出域と冷水湧出域には非常に特殊な化学エネルギー生態系が存在し、「万物の生長は太陽に依存している」との認識を覆した。また両域には豊富な資源があり、熱水堆積によるブラックスモーカーには、金や銀、銅、亜鉛、鉛などの金属が含まれ、冷水湧出域からは天然ガスハイドレート(メタンハイドレート)も産出される。人類はこれまで、熱水と冷湧水が併存する現象を発見したことはなかった。

 

▽南極にもあったマイクロプラスチック

 マイクロプラスチックは近年、海洋環境の注目の話題となっている。国連環境計画は2014年、早期に解決すべき10大環境問題の一つとしてマイクロプラスチック汚染を挙げた。世界では毎年、約3千万トンのプラスチックが海洋に進入している。大きさ5ミリメートル未満のプラスチックの破片はマイクロプラスチックと呼ばれ、化学的に安定し、分解されにくいことから、海中で数百年さらには数千年にわたって存在することができる。マイクロプラスチックは、海洋生物に致命的な影響をもたらし、人類の健康に脅威を与えている。

 各国の研究者らは近年、各地の海洋でマイクロプラスチックを発見してきた。南極は人類の活動の極めて少ないエリアだが、今回の向陽紅01号の南極調査で調査隊員がマイクロプラスチックを発見した。「南極でのマイクロプラスチック発見は、人類活動の汚染が世界の隅々にまで広がっていることを警告している」と李所長は語った。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2018322

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