一、歴史上におけるチベットの人権の発展を制約する要素
人権という観念はなんのわけもなく確立されたものではなく、それは経済社会の発展という基盤を離れることができない。歴史上、チベット地方の発展は長年にわたって停滞し、しかもチベットの発展に影響を及ぼし、停滞させた原因は比較的多い。
1、自然環境の要素。それは主に次の3点が含まれる。
(1)自然な生存条件が劣悪で、例えば海抜が高く、酸素が不足し、植生がまばらで、砂漠化が深刻である。
(2)災害が多く、例えばあらし、霜害とひょう害、人間と家畜の疫病などの発生は比較的多い。
(3)高い山々が立ちふさがっているため、外部との付き合いが難しい。
2、歴史と文化の要素。
チベット地方の経済社会発展の起点が低く、そして保守的な伝統的観念の影響を受け、特にチベット系仏教は来世を重んじ、現生を軽視し、精神を重視し、物質を軽視し、宗教を重視し、俗世間を軽視するなどの理念の影響を受け、数多くの優れた人材が寺院に集まり、髪の毛が白くなるまで仏教の経典の研究に没頭し、社会の生産と科学技術進歩の事業から離れ、社会の発展を促す中堅勢力となることができなかったばかりでなく、かえって社会に依りかかる階層となった。
3、政教合一の封建的農奴制度はチベット地方の発展が長期にわたって停滞した重要な要素となり、人間の体を束縛し、人間の精神を固く締め付け、人間性を踏みにじる政教合一の制度は鉄のカーテンのようにチベット地方の発展の望みと人々の人権を追求する夢の前に立ちふさがっていた。このいくつかの要因が互いに関連し合い、影響を及ぼし合い、経済の発展、社会の変革、科学技術と文化の進歩を経なければそれを変えることができなかった。しかし、歴代の封建的な統治者とチベット地方の統治者はすべてこのような歴史的飛躍を実現する能力を持たず、彼らがかつてある程度の試みをおこなったにもかかわらず、最終的にはいずれも失敗に終わった。そのような経済・社会条件の下で人権を語ることは、弱々しくて力のないものに見える。
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