日本政府は7月、中国人向け個人観光ビザの発給要件を大幅に緩和した。これによって発給対象は1600万世帯に拡大する見込みだ。鼻の利く投資家たちもこれを不動産投資のチャンスと見ている。
台湾の不動産仲介大手・信義房屋が上海、北京、杭州、蘇州などで最近1年間の不動産投資額が400万元の人(1000人)を対象に実施したアンケートによると、54.6%が「日本の不動産は投資潜在力を秘めている」と回答、9%が「長期的な日本定住を希望する」と答えた。最も日本の不動産を購入したいと考えているのは30歳代、その次が40歳代で、職業別では民間企業の高級管理職の割合が48.1%と最高だった。
①不動産価格を2回調整――購入期到来
今年に入って、日本の不動産購入の可能性を探る顧客の割合が明らかに増えている。その最大の原因は、中国国内の一部の都市の不動産価格はすでに東京を上回りながら、家賃収益率は東京にはるかに及ばないことにある。日本の国税庁が7月に発表した調査結果によれば、2010年1月1日時点の全国の平均路線価は2年連続の下落、下落率は8%で前年より2.5ポイント拡大した。全国で最大の下落率を示したのは東京都だった。不動産価格に底打ち感のある今、外国資本が市場に参入して安い物件を探す絶好のチャンスといえる。
金融危機によって日本の経済は衰退し、不動産の需要は低下した。そのうえ、貸出市場の不景気により、開発業者は資金不足に陥っている。今年1月の全国の平均路線価は1平方メートル当たり12万6000円まで下落し、下落率は過去13年間で最大の8%だった。東京都の路線価は11.3%下落し、過去14年間で最大の下げ幅となった。日本の不動産市場はいまだ低迷期にあるのだ。
全国で路線価が最も高かったのは銀座中心街の1平方メートル当たり2320万円であったが、昨年より26%下落し、下落率は過去16年間で最大だった。日本の三大都市圏の路線価も下落し、東京圏は9.7%、大阪圏は8.3%、名古屋圏は7.6%の下落だった。米不動産大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドは09年11月から今年6月までに、総額500億円の東京のオフィスと住宅ビルを購入しているが、これは日本の不動産価格がすでに底を打ち、購入期を迎えていることを示しているといえよう。
信義房屋の林彦宏社長は、「日本は90年代のバブル崩壊後、住宅を持っていることは借金を背負っていることに等しくなったため、持ち家比率がかなり低く、日本全体の持ち家比率はわずか50%である。つまり、国民の半数は賃貸住宅に住んでいるということだ。しかも首都圏の人口は全国の3分の1を占めるため、安定した賃貸需要が生まれ、東京では住宅の借り手が見つからないという心配はほとんどない」と話す。
ある経済学者も、「日本の不動産は2回の調整を経て、今はちょうど購入に適当な時期にある。日本の1人当たりGDPは4万ドル弱だが、台湾地区は1万8000ドルに満たない。また、東京の賃貸収益は世界第2位であるが、不動産価格は台北より低い。そのうえ日本の不動産は10年以上低迷状態にあることを考えると、今後は上昇を期待できる」と予測する。
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