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危機後に日本企業はアジアの助けを借りて復活

文=劉軍紅・中国現代国際関係研究院グローバル化研究センター主任

「日本経済新聞」が発表した上場会社の収益調査によると、2010年4-6月期、日本の上場会社の経常利益は急速に回復し、前年同期の5倍に達し、2008年のリーマン・ブラザーズ破たん前の水準の9割に迫った。また、日本円の上昇や欧米経済の見通しが不透明なことから、日本の上場会社の利益増加は世界で注目を集めている。

経済危機の発生後、急速かつ方向性のある整理を経て、日本の上場企業のコストは激減し、生産・販売能力は倍増し、利益構造は合理化した。「日本経済新聞」の調査にあるように、2010年4-6月期、日本の全産業の売上高は14%増、経常利益は前四半期比46%増となり、約1年前の5倍に達し、通年では予想を29%上回る見通し。2008年4-6月期と比べると、売上高は86%まで回復し、利益も93%まで回復している。

金融危機の発生後、中国を中心とするアジア市場は率先して回復し、世界経済の新たなけん引役となった。一方で、欧米経済は次々と財政難に陥り、市場機能が低下し、輸出の伸びも期待できない状態となった。これに対し、日本企業は早急に調整を行い、新興市場に進出し、世界競争の足がかりを固めた。中国などの新興市場への全面的な進出が日本企業の業績につながったと言えるだろう。

調査によると、パナソニックの税引き前損益は1300億円改善し、中国市場の売上高は75%増加した。ソニーの新興市場での超薄型テレビ、パソコンなどの売上高は40%増。日産自動車の世界での売上高は30%増だったが、中国市場の売上高は70%増加した。トヨタのリコール問題で一時は世界から冷遇された日本自動車業だが、中国などの新興市場の助けを借り、「ダブルの危機」の中で黒字に転換することができた。

非製造業では、伊藤忠商事を含む総合商社の利益は2.3倍増、6大銀行の収益は2.8倍増、海運業は黒字転換となった。日本の海外事業に重点を置く企業も全面的に利益を計上している。

危機後、日本企業が中国などの新興市場に特に重視しているのは、中国の「中産階級」の急速な発展に気付いたためだ。経済産業省が今年初めに発表した『通商白書』では、2010年の中国の中産階層の人口は4億4000万人に達し、アジアの中産階層の人口は8億8000万人に達するとしている。日本企業にとって、これは巨大な消費グループで、アジア市場の規模は欧米市場の全体を超えることを示している。この市場を独占した者は、世界の自動車、家電、パソコン、通信市場の半分を占めることになる。

このような戦略方針に基づき、日本の民主党政権が昨年末に打ち出した「新経済成長戦略」では、アジアをその中に組み入れ、「アジア内需の日本化」を提起した。「新開国」を推進し、空港や観光、「日本への医療ビザ」を開放し、ブランド品を割引き中国などのアジア諸国から観光客を引き込み、新興輸出産業を作り出す。また、世界の気候に関する動きに頼り、原子力発電、高速鉄道、スマートグリッド、水道事業などのインフラ事業を積極的に促進する。さらに菅直人首相は国家戦略プロジェクト委員会の委員長を務め、インフラ輸出の戦略について制定し、日本企業がアジア市場で発展できるよう支援している。

アジア市場は日本企業に成果をもたらし、日本経済を支えた。欧米市場の金融・財政、政治が混乱した今年第1四半期から、日本の実質GDPは5%超の高成長となり、同時期の欧米の成長率を上回った。日本円は上昇傾向にあり、日本の国債も国際化の道を歩み始め、危機後の世界経済構造に変化が現れている。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年8月9日

 

 

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