中国の大型国営独資企業である中国核工業集団公司の正式発表によると、中国原子能科学研究院が独自に開発した中国初の高速増殖炉となる「中国実験快堆(中国高速実験炉)」(CEFR:Chinese Experimental Fast Reactor)は21日、初めて臨界実験に成功した。
これは、中国の第4世代原子力エネルギーシステムの技術においての飛躍的な進歩である。これにより、中国はアメリカ、イギリス、フランスなどに続き、世界で高速増殖炉技術を持つ8番目の国となった。
江蘇省の田湾原子力発電所
「原子力発展」の3段階戦略
「高速増殖炉技術が臨界実験に成功したことは、わが国の原子力エネルギー技術の『第2段階』の幕開けを意味する。」と話してくれた杜祥琬院士(中国工程院所属、「中国エネルギー中長期的(2030、2050)発展戦略研究」プロジェクトの責任者)はわが国の原子エネルギー発展へのロードマップを示してくれた。
第1段階
今まで、わが国の原子力発電所は熱中性子炉を軸としていた。中国が採用していた加圧水型原子炉の技術は原子力エネルギーの急速な発展を支えてきた。
第2段階
今後、炉型は高速炉が主となる。特徴としては、ウラン238が核燃料の主体であることがあげられる。熱中性子炉が何十年、稼動し続けることができると言うのならば、高速炉は何百年、何千年だ。
浙江省の三門原子力発電所の建設現場
第3段階
今後目指すのは、核融合炉である。燃料は二重水素(デューテリウム)と三重水素(トリチウム)を使用する。海水の主な成分は二重水素であり、三重水素は金属リチウムから作られる。この第3段階には2ステップある。まずは、二重水素と三重水素の核融合の実現。次に、二重水素同士の核融合を可能にすれば、核エネルギーは未来永劫、尽きることはなくなる。
現在、わが国の核エネルギーの開発はまだ始まったばかりだ。現状として、国の電力全体の1%にしか原子力は使われていない。しかし、核エネルギーの発展は確実に軌道に乗っている。
2020年、中国の原子力発電所の設備容量は7000万~8000万キロワット(kW)に達し、中国の全電力の約7%を担うことになる。2030年には、それが2億キロワット(kW)に、2050年には4億キロワット(kW)にまで達し、全電力の15%を担うまでとなる。原子力は毎年7000~8000時間稼動し続けることができ、発電量の貢献度は22%にもなる。1年に2000時間動く風力発電とは比べ物にならない。
「まだ、原子力発電は加圧水型原子炉に頼るところが大きいと思うが、2030年には、高速増殖炉が正式に運転を開始し、中国の発電に大いに貢献してくれることを願っている。」と杜祥琬氏は言う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年8月27日
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