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四川省の地震被災地への教育支援でJICAと中国民間企業が初連携

 

四川省東北部にある国家クラス貧困県である平昌県では26日、「子どもの教育支援・心のケアプロジェクト」の約20人の作業チームを迎えた。このプロジェクトは、地震の被災地である四川省や青海省の子どもたちの教育支援や心のケアを中心に、物質的、精神的、心理的な面で子どもたちに実質的な援助を目指するもので、日本の国際協力機構(JICA)、中国扶貧基金会、ファッション誌『瑞麗』傘下の瑞麗陽光基金、キャンプ・アウトドア用品メーカーの「探路者」が共同で実施している。

今回は平昌県の張公小学校と白衣小学校の2校が対象で、JICAは子どもたちに100個の「愛を込めたかばん」を贈り、心のケアについて研究している兵庫教育大学の冨永良喜教授と若い画家の朝倉弘平さんを招いて、教師と子どもたちと交流して心のケアを行った。また瑞麗陽光基金は両校に「瑞麗陽光閲覧室」を設け、約1000冊の本を寄付して、貧困孤児30人のために資金援助をした。

子どもたちのシャイな笑顔が忘れられない

辺鄙な田舎で生活し、一度も外国人を目にしたことがない子どもたちは、はるばるやって来た日本人に非常に興味を持ったようだった。サルのぬいぐるみを持ってあいさつする冨永教授と、金髪の朝倉さんが校内に入ってくると、子供たちは好奇心に満ちた目で見つめ、なんとなく探りを入れながら2人に近寄ってきた。そして握手してあいさつを交わすと、よそよそしさや恥ずかしさはあっという間に消えたようだった。

冨永教授は2年前の5月12日に発生した四川大地震のあと、10回余りにわたって中国を訪れ、四川省の綿陽市や彭州市などの地域で被災者のこころのケアをしてきた。今回、冨永教授は「子どもたちへのこころのケア」をテーマに、平昌県の2校の小学校の教師を対象に講演を実施。教師たちは真剣に冨永教授の話に耳を傾け、熱心に議論に参加した。ある教師は「とても勉強になりました。これまでこうした子どものこころのケアに関する講座は非常に少なく、これからはこのような教育がより普及し、より系統化すればいいと思います」と今後に期待を寄せる。

パズルを組み立てるゲームをして子どもたちと交流した朝倉さんは、まるで校内の「人気スター」のようだった。朝倉さんは子どもたちを3つのグループに分け、古い新聞を使って思い思いの生き物を作らせた。簡単に見えるゲームだが、子どもたちの想像力を引き出し、チークワークを培う機会にもなったようだ。最初はびくびくして恥ずかしそうだった子どもたちも、ゲームに興じる中で歓声を上げ、周りにいた教師たちの顔にも笑顔が浮かんでいた。

「最初は子供たちとの間に少し距離がありましたが、時間がたつにつれて、子供たちはシャイな笑顔を見せるようになりました。日本の子どもたちと差はありません。あえて言うなら中国の子どもたちは模倣能力が強く、日本の子どもたちは想像力が豊かかもしれません」

学ぶ価値のある日本の援助方式

今回の支援活動は、国や政府が主導する従来の形とは違い、ファッション誌や「探路者」のような民間企業が参加した。それに具体的な援助の方法も変化し、物資や資金の援助だけではなく、専門家による子どもへの心理的なケアも重視された。

JICA中国事務所の岡田実副所長は「中国の民間企業と連携して援助プロジェクトをするのは今回が初めてで、四川大地震のあと多くの中国の民間企業が公益活動に参加しています。このような協力が展開されていくと、中国の貧困地域に深く入り込むことになり、援助の範囲を拡大することができるのではないかと思います」と語る。

中国扶貧基金会の鄭建国処長はこう話す。「日本の国際協力機関と協力することができたことは本当にうれしい。日本側は専門家を招き、簡単なゲームをするなどして、子どもたちを楽しませ、思いやりや想像力を呼び起こしました。これは私たちが学ぶべきところです」

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年9月28日

 

 

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