1930年代には世界大恐慌や世界大不況といった「通貨戦争」が発生し、今またその影がちらつき、大挙して押し寄せてきそうな勢いだ。「中国青年報」が伝えた。
日本、韓国、ブラジルなどは最近、単独での通貨対策を相次いで打ち出し、自国通貨の価値を押し下げようとしている。欧米諸国は新興経済体に全力で圧力をかけ、通貨の切り上げを迫っている。このほど米国ワシントンで閉会した主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、矛先が中国に向けられた。
この間、G7メンバーである日本は、歴史的な円高という苦境に直面し、中央銀行や政府が何度も円レートに大幅な介入を行った。このことがG7が一致団結して新興経済体に通貨上昇に関与しないよう求める勢いをそぐことになった。
▽G7は中国包囲網を形成中
現地時間の8日に閉会した同会議の主要な任務は、どのように協力を進めて、世界経済発展のペースダウンへの懸念を背景とした、世界的な通貨の「下落競争」の一層の激化を防ぐかということであり、人民元の上昇問題が最大の焦点となった。
7カ国の代表は最終的に「協力を通じて、各国が輸出刺激経済を維持して競争的な通貨の下落といった事態が起こるのを防ぐ」という認識で一致し、新興経済体にはレートを操作してはならないとし、自国通貨の継続的上昇を認めるよう求めた。
会議後に出された声明では中国を名指ししてはいないが、日本メディアは会議終了後に相次いで「G7は中国包囲網を形成中」と報道した。
▽中国の立場は変わらず、態度を再三表明
先進国グループの中国に対する人民元の急速な引き上げ要求に対して、中国側の立場ははっきりと決まっており、いささかの揺るぎもない。
温家宝総理は6日にベルギー・ブリュッセルで行われた第6回中国・欧州連合(EU)工商サミットで「中国の輸出企業の多くは利潤率が2%から3%ほどしかなく、最高でも5%だ。一部の人々が要求するように、人民元レートを20%から40%引き上げれば、輸出企業が大量に倒産し、労働者は失業し、出稼ぎ農民労働者は故郷にかえり、社会の安定確保が難しくなる。もしも中国の経済・社会に問題が生じれば、世界に災難をもたらすことになる」と述べた。
温総理の指摘によると、1994年に人民元レート形成メカニズムの改革が行われてから現在までの間に、人民元の実質実行レートは55%上昇し、この間に世界の主要通貨は軒並み下落した。2005年7月に人民元レート形成メカニズムの改革が一層深化してから今までに、人民元の対米ドルレートは22%上昇し、この間、中国の対米貿易黒字も大幅に増加した。ここから中国の貿易黒字は貿易構造の問題であり、レートの問題ではないことがわかる。
また温総理は、人民元レートの緩やかな改革の目標に再三言及した。すなわち、市場ニーズを基礎とし、通貨バスケットを参考にして調整する、管理された変動相場制を形成し、人民元レートの弾力性を一層強め、人民元レートを合理的でバランスの取れた水準で基本的に安定させることが改革の目標だ。
▽度重なるレートへの関与 日本に声を上げる資格なし
人民元の急速な上昇を求める国をみると、大声を張り上げる欧米諸国に比べて日本はかなりトーンが低い。その原因は中日関係の大局に配慮しているから、というわけではなく、日本自身が今危険な状況に陥っていて余裕がないことにある。
このたびのワシントンでの会議で日本の財務相と中央銀行総裁はかなり気まずい様子だった。日本はG7の間近にレート関与を行い、レート引き下げをはかった唯一の国だったからだ。
進行する円高をくい止めるため、先月15日、日本は6年半ぶりに通貨関与の動きを取り、2兆円を市場に投入した。そして今月5日には中央銀行が突如ゼロ金利政策を実施すると発表した。ある意見によると、日本のこうした動きは、客観的にみて中国のレート操作行為を正当化するのを助けるという。
G7会議の閉会後、日本の野田佳彦財務相は会議で日本の市場関与措置について「明確な説明」を行ったと述べ、日本政府の関与は長期にわたり大規模に行われることはなく、日本円レートを一定の水準に保とうとするものでもないと強調した。ここから日本が為替市場に対する関与と中国に対する言行とを区別していることがわかる。欧米各国は日本の措置について支持も理解もしていないが、批判もしていない。
日本のアナリストによると、欧米が日本の行動を「黙認」した原因は、G7内部が分裂し、一致団結して形成した中国包囲網に影響が出るのをおそれるためだという。
▽円高は進行中 関与はやむなし
だが円高は日本政府の関与でも止まらなかった。8日のニューヨーク外国為替市場では一時1ドル=81.72円をつけて過去15年で最高値となり、1ドル=79.75円の過去最高値に刻一刻と近づいている。
日本円の再び大幅上昇して、日本にとって大きな圧力となり、大きなダメージを与えることを防ぐため、日本国内では、政府と中央銀行が引き続き関与措置を取る必要があるとの見方が多数を占める。だがもう一度為替市場に関与すれば、必ず欧米の反発を引き起こすことになる。
日本は今、日本円を救うか、G7の団結を守るか、二つに一つの難しい選択を迫られている。人民元上昇については、日本は今、欧米の後ろであれこれ叫ぶ意欲もなければ、その力もない。
「人民網日本語版」 2010年10月13日
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