JICA節水型社会構築モデルプロジェクトが、2008年6月から2011年6月まで3年にわたって行われている。中国側は中国水利部、河南省鄭州市供水節水弁公室、山東省淄博市水資源管理弁公室、北京市水務局節水管理センター、水利科学研究所、日本側は日本国際協力機構(JICA)、国土交通省、厚生労働省、経済産業省、福岡市水道局、独立行政法人水資源機構などが同プロジェクトに協力している。
節水教育は同プロジェクトの重要な一環だ。同プロジェクトは研修を通して中国の水資源管理者に日本の節水技術を紹介しているが、中国の節水は節水技術に頼るだけでなく、国民の節水意識をさらに高める必要がある。日本水フォーラム(JWF)の節水リーダーは2010年1月、淄博や鄭州の小学校を訪問し、節水教育を行った。日本の節水リーダーの主な目的は、自ら学校を訪問し、わかりやすい節水講座を行い子どもたちの節水意識を高めることだ。中国政府も現在、節水教育に関する活動を積極的に行っている。たとえば、ラジオやテレビなどのメディアで節水を呼びかけたり、毎年5月に行われる「中国節水ウィーク」期間を利用して大型イベントを実施するなどしている。しかし、中国の節水教育は一方的な宣伝に傾いている。水資源関連の専門家が自ら学校やコミュニティに行き、学生や住民に講義するなど、きめ細かく相互作用のある教育のチャンスは比較的少ない。日本の節水教育は、相互作用が強く、わかりやすいのが特徴だ。同プロジェクトの教材制作を行う専門家と北京、鄭州、淄博の節水教育責任者は2010年4月、シンポジウムという形で中国の水資源の現状に適した教材を研究・開発した。教材には紙芝居を用い、世界の水問題、中国の水問題、北京、鄭州、淄博の水問題、水と生存、水と生活の関係などの内容が含まれる。また2010年5月には、北京で節水リーダー研修が行われ、水利部国際経済合作交流技術センターとJICAは、研修を受けた22人に節水リーダーの証書を授与した。
中国の節水リーダーは節水普及に関する活動を実施している。鄭州の節水リーダーは小学校で節水の授業を行っているが、鄭州には節水リーダーが2人しかおらず人力が限られているため、さらに多くの節水リーダーを育成し、小中学校の先生を育成対象とする方向で考えている。このように普及範囲が拡大すれば、社会の影響力もますます高まる。またその一方で、日本の専門家と中国の関係スタッフの共同の努力は、中日友好関係を促進することにもなる。鄭州の紙芝居や節水リーダーの活動は日本メディアからも注目されている。朝日新聞の記者は2010年7月、鄭州の節水リーダーを取材し、朝日新聞(全国版)で節水リーダーの活動を紹介した。また、10月中旬に在中国日本国大使館と河南省政府が行う「河南日本ウィーク」の期間中、節水リーダーは23日と24日に会場で小学生に節水の講義を行うことになっている。10月末には日本のNHKが山東省淄博の節水リーダーを取材する予定だ。これらの方法を通して、民衆の節水意識が高まり、節水の効果が得られることを望んでいる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月18
|