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最前線に守る丹羽大使:中日関係強化に余生捧げる

 

----大使は中日関係についてどのような新しい考えをお持ちか。

重要なのは両国民間の草の根交流の推進だと思う。日中国交正常化以来、双方は関係改善に少なからぬ努力を払ってきた。だが国民感情には明らかな改善が見られない。このため私は国民間の交流強化がなおさらに必要だと考える。

----大使は以前、南京を訪問された。南京では何を感じ、何を得られたか。今年の「中国巡りの旅」計画について詳しく紹介していただきたい。

江蘇省訪問は非常に有意義だった。南京訪問の理由だが、まず南京は中国の全ての地区において日本との関係が最も密接だからだ。南京は江蘇省、長江デルタ工業地帯に位置する。現在江蘇省には日本企業7000社余りが投資し、日本人1万人余りが暮らしている。

私は以前江蘇省の経済顧問を務めた。南京訪問にあたっては、これを機会に中国の最も普通の庶民と交流したいとの考えもあった。南京で私は早朝に公園を訪れ、太極拳を行なう庶民と間近に交流し、触れ合った。

中国各地をあまねく訪問するつもりだ。新疆ウイグル自治区に遊び、チベット自治区を訪問し、さらに多くの庶民と対面したい。寒い時期には南部へ行き、暖かくなったら中部へ、夏には北部へ行くというのが私の構想だ。もちろん訪問計画は天候の要素ばかり考慮するわけにはいかないが、重要なのは中国各地に足を運ぶことだ。早朝運動をする庶民とも交流をしたい。

中国巡りのもう一つに理由は、戦争孤児と関係がある。戦後、日本の戦争孤児は多くの善良な中国人養父母に世話をしてもらった。こうした養父母はすでに高齢だ。彼らが健在なうちに見舞って、感謝の意を伝えたい。

■「『得失』で日中関係を簡単に評価することはできない」

----大使は2010年の中日関係をどう評価されるか。「得」と「失」で評価するとしたら、それぞれどの面に現われたとお考えか。「得」が大きかったか、それとも「失」が大きかったか。

中国と日本には数千年の往来の歴史がある。今後も数千年続くだろう。したがって「得」と「失」で日中関係を簡単に評価することはできない。両国関係は野球やサッカーの試合でもない。数千年の歴史を持つ日中関係を判断する際に「中国が何点取って、日本が何点失い、結果は何対何」などと、どうして言えるだろうか?私は長期的視点から日中関係を捉えているので、昨年の日中関係になんら「失」はなかったと考えている。

日本には「雨降って地固まる」という言葉がある。雨が降った後は、地面はかえってより固まるという意味だ。私もこうした視点から昨年の日中関係を理解している。昨年の風波を経て、両国民共に改めて相手国の重要性を認識した。日中は確かに、どちらがどちらを切り離すこともできない。双方にとって唯一の選択肢は友好的に付き合うことだ。

----釣魚島事件への対応の全過程に大使として自ら参与されたが、振り返ってみて中日双方の対応についてどうご覧になるか。最悪の局面は回避できるか。

この件については私は常に、ネガティブで暗い視点ではなく、ポジティブで明るい視点で考え直すことにしている。私は「過去に自分がこうしたから、現在の結果を招いてしまった」と考えるのではなく、「当時もし自分がこうしていたら、もっと良い効果を得られた」と考えるようにしている。こうしたポジティブな振り返りは重要だ。以前民間企業にいた時も、部下にこのように話した。こうしたポジティブで明るい考え方は日中関係にも同様に適用できると考えている。

昨年両国関係は困難にぶつかったが、両国は友好的な付き合いという目標で一致している。したがって双方共に誠意をもって向き合うこと、嘘をついたり騙したりしないことだ。数千年の歴史を振り返ると、これが唯一の選択肢だ。

数千年の歴史の中には風雨に遭うことももちろんある。雨が降ったら傘を差すものだ。両国間の交流のプラットフォームを増やすことも必要だ。例えばある協議は以前は年2回しか行なわれていなかったが、今後は年4回に増やされる。政治以外に経済、文化、スポーツなど各分野の交流も拡充を続ける必要がある。

 

「人民網日本語版」2011年1月26日

 

 

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