不安定な状態が続く菅政権にとって、GDPで中国に抜かれたことは良いニュースではあるまい。2010年第4四半期はマイナス成長となり、「日本の経済はもうダメなのではないか?」という声もささやかれている。今回、ラジオ局・中国之声の番組「新聞縦横」では、日本経済について清華大学現代国際関係研究所の劉江永副所長に話を聞いた。
司会者:日本はGDPで中国に抜かれ、世界3位になりました。これは日本にとってどのようなことを意味するのでしょうか?
劉江永:「米・欧・日」の局面が「中・米・欧」に変わったという点で、戦後から続く局面に大きな変化が訪れたと言えます。また、日本経済は20年近く停滞を続けており、平均成長率は1.5%以下です。日中両国の経済発展に関して、発展速度の面では、中国が速く、日本が遅いという状態が20年続いています。今回、中国が日本を越えたのは当然の流れだったといえるでしょう。
一方で、日本経済は高度経済成長を経て、成熟飽和の段階に入っています。インフラ設備、科学技術レベル、経済の質、単位GDPエネルギー消費などでは、日本は中国より優れています。日本のこのような状況は、世界経済、日中経済の不均衡な発展が招いた当然の結果を反映しているといえます。
司会者:日本の経済財政大臣は「現在のデータだけをみると、日本経済は以前からの局面を抜け出せていないように見える。しかし、政府や日銀は日本経済が成長に向かっているとの見方を示している」と述べました。これついて、どのようにお考えですか?
劉江永:経済の発展には周期があります。日本はバブル崩壊後、金融危機やデフレ、高齢化問題など次々と問題に直面しました。また、欧米を含む世界の不況により、輸出が一定の打撃をうけています。
日本の関係者は次のように述べています。「世界経済が回復に向かえば、今後日本の輸出も増大する。また、日本のインフラ、個人住宅は今後二、三十年内に一新されるとみられ、日本経済もそれにともない投資を増大させることができるだろう。」これは経済の周期によるものです。このことから、日本経済は衰退し続けることはなく、今後、不況から回復することができると考えられます。
司会者:日本経済の発展の動向について、どのような考えをお持ちですか?
劉江永:日本の経済発展には次の2点が重要だと考えられます。1点目として、日本の構造改革です。いかに中国を含むアジア諸国との経済協力関係を発展させるか、欧米諸国が経済回復をとげた後のチャンスを捉えられるかどうかが重要になってきます。各国と自由貿易協定を結び、海外市場にどれだけ参入できるかがカギとなります。この中で、中国経済の発展は日本にとってかなり重要な役割を果たします。日本にとって中国は、製造の拠点から市場に変わり、中国需要という言葉がキーワードとなっています。中国経済の発展は日本経済を牽引する役割を担っているといえるでしょう。
2点目としては、資源の問題があります。日本のハイエンド製品の生産にはレアアースが使われていますが、そのレアアースの約80%を中国からの輸入に依存しています。日本は原材料を中国から輸入する必要があり、市場のニーズ、資源のニーズを問わず、中国との協力関係強化が求められるでしょう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年2月16日
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