四川省成都の国際赤十字本部でよく見かけるなまった中国語で話す日本人。日本赤十字駐在中国代表の位坂和隆さんだ。2008年10月、日本赤十字に参加、四川に派遣され、四川大地震被災地の再建に当たった。被災地での仕事はもうすぐ3年になろうとしている。
位坂氏によれば、日本赤十字が四川大地震の復興再建に参画してから、これまでに学校20校、衛生院37ヶ所、民間住宅19000户を建設、ほぼ全ての工事が来年春には完成予定という。「ここで全ての復興援助項目の完成を見届け、すべてのソフトウェアが適切に配備されるのを確認できます。被災者の満足が全てで、満足していただいた時が私の仕事納めです。今後は青海省玉樹被災地の復興再建に参加します。その後も必要があれば、中国に留まると思います。」
労働者は英雄、友達ならば杯を
この3年間の四川での経験を振り返って、位坂さんが一番印象に残っているのは、ある再建作業で出会った「無名の英雄」、そして四川の人々の感謝と情熱の心だという。
「私の仕事は主にプロジェクト探し、資金調達ですが、実際に再建を行うのは工事労働者です。彼らこそ本当の功労者です。無名の英雄です。」彼は、青川、北川等、災害程度が重大な地域で、多くの中国人の支援者が労を惜しまず再建作業を黙々と進めていくのを見てきたという。
四川での生活に話が及ぶと、「順調で楽しいですよ。」彼自身が赤十字の人間だと知られているため、みんなよくしてくれて困ったことはあまりないとのこと。だが、時には「四川の人は情熱的で、時々ちょっと「怖い」です。」もともと仕事のために北川などの地域に行く機会があるが、この地の飲酒文化である「友情の証に杯を干せ」には、「気持ちはあるのですが、どうも体がついていきません。」と笑う。
行き届かない地域にも再建の手を
中日両国の救援再建事業については、自身に考えがあるという。「中国の災害救援再建作業はスピーディに適切に行われ、ほぼ95%完了とみていいでしょう。非常に印象深い仕事でした。特に都江堰、北川等の地域の復興は非常に早かった。しかし、被災地域が広範囲にわたっているので、一部担当する地方行政の手が行き届かない地域は再建が比較的緩慢になっています。こうした一部の地域の被災者が一日も早く通常の生活に戻れることを祈っています。今回の日本の震災の被害も非常に重大で、復興再建は長くかかると思われます。」
「日本で震災が発生した時、四川の被災者のみなさんが自発的に募金活動をしてくれたことに感動しました。四川の被災者の皆さんの積極性、楽観主義は、日本の被災者も励まされたことでしょう。」位坂氏は、日本の震災に対し中国赤十字会が日本赤十字に3000万元あまりの援助金を贈ったことに言及し、「中国赤十字だけでなく他の多くの団体、個人からも援助の意向を寄せていただきました。感謝します!中日両国の人々がずっと助け合い、仲良くしていけることを心から祈っています。」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月11日
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