文=コラムニスト
陳言中国人観光客75人を乗せたフェリー「燕京号」が1日朝、神戸港に到着し、温かい歓迎を受けた。神戸市の音楽隊が港で賓客を迎える楽曲を演奏。それに続いて、神戸市みなと総局が盛大な歓迎セレモニーを催し、地元の職員が観光客に花束と記念品を贈った。東日本大震災後、中国の大型団体ツアーが日本を訪れたのは初めて。神戸市みなと総局の岡口憲義局長は、「活気に溢れた関西地方の現状について、より多くの中国の人々に伝えて下さることで、関西に観光に訪れる中国の方がさらに増えるよう願っています」と貴賓待遇の歓迎の理由をこうに率直に語った。
津波と原発事故の被災地ではない関西でも観光客の来訪をこれほど待ち望んでいるのだから、被災地である東北地方はなおさらのことだろう。
被災地は経済復興までまだ長い道のりが残されている。特に観光業は大打撃を受けた。国土交通省の副大臣で現内閣総理大臣補佐官の辻元清美氏がかつて筆者にこう語った。
「毎週、飛行機1機分の中国人ボランティアが被災地を訪れ、震災復興を手伝い、夜は被災地近くの温泉旅館に泊まり、関東の料理を味わえば、被災地の観光業はすぐにでも回復する」。
大型の航空機でも1機当たりの定員は300人ほどだ。観光客の重要性を知り尽くしている辻元氏は、「関東でコーヒーを一杯飲んで、温泉旅館に数泊してもらうだけでも被災地の支援になる」という。
これは非常に意外なことだった。物資が不足している被災地を訪ねるのは被災者の資源を使ってしまい、混乱を招くという声もあるからだ。しかし、ちょっとした消費が被災地の支援につながるのだという。
5月、筆者は日本滞在中に多くの日本人ボランティアがそうしているのを目にした。羽田空港で大きなリュックサックを背負い、被災地に救援を兼ねて旅行に向かう人の姿を多く見かけた。中には高齢者も多くいた。救援活動はそれほど忙しくはなく、ほとんどの時間を関東での消費に費やす。
東京のホテルの多くは関東料理、関東産の清酒などどれも関東を売りにしている。東京で関東産の清酒、関東の地方料理を味わうのも被災地への真心につながる。
日本国内では自ら被災地に向かい救援活動に参加する人が増えているが、外国人観光客はいまだ日本に寄り付かない。「私は以前国土交通省の副大臣だった時、外国人観光客が日本を訪れるようにイベントを企画したことがありましたが、今はその当時よりも外国人観光客を日本に呼び込む必要があります」と辻元氏は話す。今先ず必要なのは、一部の人に日本に来てもらい、日本を直接理解してもらうことだ。
「外国人観光客は日本の食品の安全、生活の安全に関する情報をより早く海外に伝えてくれ、私たちが自分たちの言葉で外国政府に日本の現状を説明するよりも高い効果が期待できます」。
こういった点で、中国人団体ツアーは韓国などの国よりも行動が早い。5月20日には広東の旅行会社が日本にツアーを派遣。外国人観光客の来訪を待ちわびる日本にとって願ってもないことだった。
日本は復興できるか?もしかしたらその望みは、あなたや私のような旅行者に託されているのかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月9日
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