山東省煙台市の県級市・莱陽市で農業に取り組む日系企業の山東朝日緑源農業高新技術有限公司は、設立から5年が経つものの赤字続きで、現地の農民の笑い者になっているという。「新京報」が伝えた。
同公司は2006年、日本のアサヒビール、住友化学、伊藤忠商事により合弁設立された。この3社はいずれも世界企業上位500社に入る大企業だが、農業生産を手がけるのは初めてのことだった。当時、同公司は莱陽市で1500ムー(100ヘクタール)の土地を借りて、酪農を始め、トウモロコシや小麦やイチゴなどを植えた。土地の借用期間は20年間だった。
同市大明村の村民はこの日系企業を快く思っておらず、「あの人たちは土地の扱い方を知らない」と話す。過去5年間の同公司の栽培方法は現地の人々からもったいないと思われている。化学肥料を使わず、農薬を使わず、除草をしないこともあり、1ムー(約0.06ヘクタール)の土地の収穫量は現地の農民の半分ほどに過ぎなかったのだ。
日本人が土地を借用する動機に疑問を抱く人も出てきた。ある農民は日系企業は鉱物資源の探査のために土地を借りたと言い、別の人は日本人は自国のために穀物生産拠点を作り、土地を占領して勢力範囲を拡大するつもりだと話す。
▽栽培と酪農の循環を目指す
現地の農民の疑問に対し、同公司の前島啓二副総経理(副社長)は言葉を選びながら次のように回答した。
メディアの中にはこれまで、同公司が日本向けに穀物を生産していると誤解するものもあった。
現在、企業は利益を挙げていないが、プロジェクトを開始する前にしっかり準備をしている。利益を上げることが目的なのではなく、農業モデルプロジェクトを実施して、高水準の農産品を提供することが狙いだ。
同公司は初めて循環型の生態環境に配慮した農業を行っている。まだ実験段階にあり、過去5年間に一連の問題が生じるのは免れなかったが、徐々に改善しているところだ。とはいえ、同公司も自分たちの栽培理念が現地の農民とまったく違うことは自覚している。
日本には昔から、作物を植えるにはまず土作りをし、土作りを行うにはまず人作りをする、という教訓がある。最も重視するのは土壌の質だ。莱陽市の土地は肥沃だが、化学肥料や農薬をたくさん使ったために土地が退化しており、そこで初めの数年間は土壌の回復に大きな力を注ぐことにしたのだ。
現地人々は各年のムーあたり収穫量をなお重視する。土地は化学肥料を絶えず追肥しなければ収穫量を保てず、このようにして生産された農作物には化学品が残留していることが多い。
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