拝啓 五十年前のあなたへ
上海市甘泉外国語中学校 李 逸婷
拝啓 五十年前のあなたへ
信じてくれる人はいないかもしれませんが、私は五十年後のあなたなのです。私はタイムマシンを使って、このメールをあなたの元へ届けたのです。
きっと未来がどうなっているかをあなたは知りたいと思っていることでしょう。しかし、しょうじき言ってあなたが望んでいる世界ではありません。だから、私はあなたにこの手紙を書いたのです。
五十年後の上海の三分の一はもう海の下です。私も内陸に家を移さざるを得なくなりました。何十年も暮らした家を捨てるほかはありませんでした。あなたの時代には、地球温室化問題を取り上げているはずです。海水面が上がれば、土地の低いところは海面の下に沈むことになります。ツバルのような国は5年前に地図の上から消えたのです。これからは上海、私とあなたのふるさとも地球から消えてしまうのでしょうか。
地球はもはや人間の仕打ちに耐えることはできません。だから、今私たちを裁いているのかもしれません。
何年も前からエネルギーは、これほど大きな世界の需要を満たすことができなくなりました。石炭をはじめ、石油、天然ガスといった化石燃料は残りわずかです。新型エネルギーの開発とともに、世界各国は残りの資源を奪い合い始めました。戦争はもはや昔のように、中東の石油大国だけではなく、アジア、ヨーロッパー、アメリカにまで広がったのです。
小型核兵器も戦争で使われたことが何度もありました。昨日まで、私と電話でおしゃべりしていた友人が、一瞬にして命を失ってしまったのです。
私は今年68歳です。この半世紀が過ぎて、今は痛ましさと後悔の気持ちで残りの日をすごしています。
私にはやり直しという選択肢がないのです。でも、未来の後継者であるあなた、あなたたちは違った未来をにぎっています。
ですから、私たちとは違った美しい未来を築いていってほしいのです。
敬具
未来の後継者、五十年後のあなたに。
人民中国インターネット版 2011年7月19日
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