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王莹氏:まだ見えてこない日本国債格下げの影響

 

日本はここ数年、デフレで困難な状況にある。信用格付け機関による今回の格下げが国債利回りの上昇を誘発すれば、更に財政の悪化が進むことになるだろう。

ユーロ債の危機が尾を引く中、アメリカ国債の危機が世界を震撼させて間もないのに、今、日本国債も危機に直面している。8月24日、ムーディーズは日本国債を一段階格下げしAa3とすると発表、今後の見通しは安定としながら、すぐに日本の金融機関の信用格下げを発表した。増え続ける債務と信用評価の格下げ、日本に警鐘がなっていることは否定できない。

実際、ここのところ、三大国際評価機関の日本に対する長期信用評価はあまり振るわなかった。スタンダード&プアーズは長期国債の信用評価を4番目の「AA-」とし、フィッチ・レーティングは外貨債務の評価に3番目の「Aa」をつけた。この二つの評価機関は、今年4月末と5月末に日本に対する評価見通しを「ネガティブ」と発表している。こうした評価から、すでに日本の実際の債務負担と財政赤字の程度は市場によく知られている。ムーディーズがその国のマクロ経済や見通し、財政状況、為替政策を重視していること、中でも中央政府の債務負担(特に対外債務)と返済能力を重視していることを考慮すると、日本は目下、国債対GDP比がすでに200%を超えており、これに震災復興負担が加わり、財政調整能力はすでにかなり弱っている。これでは、信用評価機関から格下げされるのも無理はない。

だが、日本政府の債務がこれほど増加しても、債務危機は起こる気配がない。日本国債は95%ちかく日本国民と国内機関が保有しており、海外資本は日本国債の空売り状況を把握しずらいからというのが一般的な見方だ。しかし、今回の状況はちがう。いずれにしても巨額の債務はすでに日本に時限爆弾のように存在している。

日本はここ数年デフレで困難な状況にある。信用格付け機関による今回の格下げが国債利回りの上昇を誘発すれば、更に財政の悪化が進むことになるだろう。もちろん、アメリカ経済の見通しも暗く、ユーロ債の危機も破壊的だ。資本経済市場はスイスフランと日本円に照準を合わせているので、日本円は長期的に円高傾向となるだろう。信用機関の格下げは日本円のトレンドを変更させる。日本経済にとって。財務省が巨費を投じて為替関与する必要がないだけいいことといえるかもしれない。

日本円の低金利借り入れによる資金で、ここ10年来国際投資資本は巨額の日本債務を借り入れ世界各地に投機してきたことが、世界の金融市場が活性化していた一因である。今回、日本が信用機関から格下げされたことは、そのまま投機市場が抜本的な対策を迫られることを意味する。もし、ユーロ債危機やアメリカ国債危機による世界金融機関の貸ししぶりを参考にするなら、ある時点で突然緊張し、全ての投機市場が一瞬で崩壊することもありうることと予測される。

もちろん、当面は市場はムーディーズの格下げに関わらず、円高傾向は続き、日本円は市場まれに見る高値で小幅に推移するだろう。だが、日本の格下げは日本円終末のシンボルだ。特に日本の金融業界にとってはこれから深く巨大な一連のリスクに向き合わなければならない。これは日本の金融業界にとって強烈な打撃となるだろう。(王莹 上海学者)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年8月25日

 

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