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中日関係:「高きに登り、遠くを望む」ことが必要

 

野田佳彦氏が29日、日本・民主党の新代表に当選した。国会での指名を経て首相となる。首相として直面する問題の1つが中日関係の処理だ。(文:葉小文・新中日友好21世紀委員会中国側委員。「人民日報海外版」コラム「望海楼」掲載)

■新首相に伝えたいこと:中日両国は一衣帯水、葦の小舟で渡れる距離。「高きに登り、遠くを望む」ことが中日関係には必要。

どれほど高くまで登る必要があるのか?少なくとも日本列島が見えるだけでも、中国大陸が見えるだけでもなく、東アジアやアジア全体を見渡せる高さでなければならない。どれほど遠くまで望む必要があるのか?少なくとも自国や目前の事柄だけでなく、他国や後の世代まで見なければならない。

百数十年前、日本は脱亜入欧により台頭を果たした。現在は「隣国をパートナーとし、和をもって貴しとなす」の心と、再建と振興、発展継続の姿勢でアジアに回帰することを検討すべきではないだろうか?アジアは巨大な人口と市場を擁すのみならず、各種先進技術を創造し、掌握する能力も持ち、世界経済の活力源となっている。世界経済の成長率に対するアジアの貢献は昨年、45%を超えた。日本の有識者もすでに「過去150年間続いた脱亜入欧路線からアジア重視路線へ転換すべきだ」と呼びかけている。

高きに登るには、確かな足並みと共通の経済利益が必要だ。遠くを望むには、広い視野と厚い文化的基盤が必要だ。

中国は平和発展路線を歩むだろうか?もし自国の発展の歴史にとらわれて判断するなら、日本は誤判を免れがたいだろう。確かに日本は明治維新後、対外侵略・拡張路線を歩み、東アジア各国に深刻な苦難を与えた。だが時代はすでに工業革命初期に普通だった略奪的、拡張型成長から、科学技術革命、情報革命、グリーン経済の求める補完的で持続可能な成長へと移行している。

通常、高コストの科学技術イノベーションは経済規模の支えを必要とする。市場が大きいほどイノベーションはコストが下がり、原動力が強化される。中国には巨大な人口と市場、強大な内需がある。東部の先行発展と同時に、西部開発、中部台頭、東北振興によって国内市場が不断に拡大し、科学技術のコスト軽減とイノベーション促進の連鎖反応が生じている。第3次産業や現代的サービス業の発展、西部大開発も科学技術イノベーションによって生じた余剰労働力の受け皿となっている。したがって、中国の科学技術革命と情報革命による新しいタイプの工業化、経済成長パターンの転換による持続的発展には、過去の一部先進国の対外拡張路線を再び歩む必要性も、可能性もないのである。

中日両国は巨大な経済規模と強い補完性を持つ。中国は世界最大の発展途上国であり、日本の技術やハイエンド製品を必要としており、多方面で日本に学ぶ必要がある。日本は貿易・技術立国であり、中国のような巨大かつ近場の市場を必要とし、中国製の安価な日用品も必要としている。低炭素経済の発展、金融の安全維持にも協力が必要だ。

中国は誰も威嚇しないし、誰の威嚇も恐れない。紛争の平和的解決は中国の平和的発展の理念に基づくものであり、現在は理解できずとも、ゆっくりと理解してもらえればいい。現在は懸念を抱いていても、目を拭って待ってみてはどうか。

中日間には文化的に通じ合うもの、心が通じ合うものが少なくない。たとえば両国の仏教文化交流は、共通の信仰を通じ、代々受け継がれて形成された歴史であり、仏法によって結ばれた国を越えた長い絆だ。第二次大戦後、仏教は中日間の民間友好交流の扉を開き、国民感情の疎通と修復を促す役割を果たした。中日関係が困難に直面するたびに、文化の力、民間の力が立ち上がってきた。いつも同一の春風が大洋の両岸に吹き渡り、いつも同一の海水が国境を分かたず還流してきた。

歴史は忘れるわけにいかず、憎しみは引きずってはならない。幸いなことに中日間には長い文化交流の歴史がある。文化交流の推進は、高きに登り遠くを望み、腰を据えて相談する理性と政治的相互信頼の強化、浮ついた浅薄な衝動と誤った判断の減少に寄与する。

 

「人民網日本語版」2011年8月30日

 

 

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