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日本国立環境研究所(NIES)で循環利用技術に関する専門家の説明を聞く交流団一行 |
「中国青年トヨタ環境保護助成活動」の資金援助を受け、中華全国青年連合会が派遣した第五次訪日交流団がこのほど、日本に赴き交流・視察活動を行った。
トヨタ自動車の布野幸利・副社長は、東京で行われた記者会見で、「今年発生した巨大地震とそれに伴う大津波、放射能事故によって、福島をはじめ被災地各地に未曾有の災難がもたらされ、多くの日本人は、クリーンエネルギーや汚染されていない自然環境がどれほど貴重なものかを身にしみて感じた」と述べた。
▽廃棄物の再資源化を実現
茨城県築波市に、大きな銀杏やケヤキなど古い樹木と草花が生い茂る静かな一角があり、「国立環境研究所(NIES)」の看板が立っている。同研究所は、1971年に設立された独立行政法人で、数多くの研究員を擁する専門研究機構。1990年には、新情勢に対応するために、「地球環境研究センター」が付設された。
交流団一行は、同研究所の「循環・廃棄物研究棟」を見学した。担当者は、実験設備の前で、「ここは、廃棄物の再資源化に関する技術・システム開発・分析を行う研究部門で、廃棄物資源化技術・システムの実用化・ハイレベル化を目標としています。具体的には、循環型社会のニーズに対応するため、生ゴミから有用な物質をリサイクルする技術やゼロエミッション実現のための技術を研究しています」と説明した。
▽ゴミ焼却技術の新成果
「生ゴミからどのような有用物質を回収することができるのでしょうか」という交流団の一人から出た問いに対し、専門家は「例えば、発酵飼料や生分解性プラスチックの原料となる乳酸などです」と答えた。
専門家は、廃棄物熱処理(焼却)プロセスで発生する物質変化(揮発、分解、合成、凝固・縮小、除去)に対する分析研究が行われる一連の設備の前で、操作の原理や研究成果を詳しく説明、一行は熱心に聞き入っていた。
「1台の燃焼設備のゴミ処理能力は、1日どれくらいですか?」との問いに対し、専門家は「1日100トンです。日本にあるゴミ焼却所は1500カ所と世界最多です。分類後のゴミの8割は、1度あるいは2度焼却しなければならず、残ったごく少量の物質が埋め立てられます。このような設備・技術は、中国の上海や天津でも、次々と運用が始まっています」と答えた。
▽法律・条例を制定施行し、リサイクル制度を確立
交流団一行と日本経済産業省、環境省の職員が、官公庁舎で話し合う機会を持った。
日本政府は1971年以降、「廃棄物処理法」「再生資源利用促進法」「家電リサイクル法」など一連の関連法律を次々と発表した。このうち、2001年に公布された「循環型社会形成促進基本法」の実施にあたり、3R(Reduce・Reuse・Recycle)政策を打ち出し、ゴミの減量化、再利用、再生利用を目指した。2003年に公布された「資源有効利用促進法」では、10業界69品目のメーカーに対する相応の義務が定められた。
「中国青年トヨタ環境保護助成活動」第5次訪日交流団の団長を務める中国国際青年交流センターの楊立華副主任は、「循環型社会を作り上げるための日本のやり方は、我々にとって素晴らしい参考事例だ。中日両国は、調和ある社会発展に役立つ相互学習・提携のためのプラットフォームを協力して構築しなければならない」と語った。
「人民網日本語版」2011年9月20日