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震災から半年~上海で日本人学生らがチャリティーイベント開催

 

 岡田紘幸=文・写真

 上海福島県事務所所長講演の様子、入れ替わり若者たちが会場に集う

9月10日と11日の2日間、東日本大震災の復興に向けたチャリティーイベントが上海市紅口区の魯迅公園内・朱屺瞻芸術館で行われた。主催は上海の日本人留学生からなる団体「チャリティーウィーク実行委員会」。同会は震災発生から6カ月という節目に、「被災地の現状、復興の様子を上海のより多くの人に知ってもらいたい。上海に住む学生も何か現地の役に立ちたい」という思いから企画された。学生を中心に50名ほどが集い、被災地の東北に向けて支援の気持ちを発信した。

挨拶をする上海財経大学4年高橋達彦さん(左)、留日同学会秘書長の李峰さん(中央)、在上海日本国総領事館の角谷俊太郎領事(右) 

10日昼過ぎから、オープニングセレモニーが行われ、まず被災地の方へ黙とうが捧げられた。今回の企画の学生代表である上海財経大学4年の高橋達彦さんは「世界中が日本のこれからに注目している。被災地のことを改めて知ってもらうことで、上海にいる学生の意識を変えていきたい」と語った。後援団体の挨拶では、会場手配に尽力した留日同学会の李峰秘書長が「お互いの国の将来のためにがんばりましょう」とエールを送り、在上海日本国総領事館の角谷俊太郎領事は「この会は貴重な存在」と高く評価した。

福島県上海事務所の國分健児所長による講演では、今なお残る被災の現状や、中国国内の報道では伝わりにくい被災地から少し離れた場所での生活状況など、データを交えての報告があった。また現地企業に対する風評被害や人権侵害の情況、行政としての対応の苦労、地域コミュニティーの活動の様子も語られ、参加者は熱心に耳を傾けていた。最後に「被災地が立ち上がろうとしていることを忘れないでいてほしい。それが復興につながる」とのメッセージが伝えられた。会場内では「福島県復興PR」のため福島産の食品展示販売も行われた。

講演をする國分健児・福島県上海事務所所長(左)、福島県紹介と食品販売に関心を寄せる来場者(右) 

また、プロの写真家による被災地写真紹介やコーヒーを直接手渡しで被災地へ届けたある企業家の講演、大学生たちによるボランティア体験報告、二胡と三線(沖縄県の伝統楽器)によるミニコンサート、中国茶・二胡チャリティー教室などが行われ、来場者を楽しませていた。企画の1つ、「ハナサケ!ニッポン!」代表の華東師範大学4年の木村美香さんは、上海に住む人が一番被災地の力になれるのは「日常生活の中で、なるべく被災地の物を積極的に消費すること」と訴えて、上海で東北の日本酒紹介などを行っている。今は自身の好きな音楽イベントで、考案した日本酒カクテルなどを紹介し、同世代にも多く関心を持ってもらえるように奮闘中だという。

二胡と三線によるミニコンサートの様子 

学生実行委員会はイベント内容を工夫しただけでなく、チラシなども自作、苦労の末開催にこぎつけた 

開催2日目となる11日には、復興支援活動ボランティア団体代表の講演や、「立ち上がろう若者たち」と題した上海の企業経営者・小園英昭さんによる講演も行われた。小園氏は20代で単身赴任したアフリカでの体験などを振り返りながら、「思っても行動できる人は全体の5%くらいしかいないと思う。若い時は思ったことをどんどん行動すればいい、一歩踏み出すだけ」と来場者の学生にエールを送った。今回訪れた日本人たちにとっては、故郷である日本の被災地の現状を知り、また将来の自分を考える上でよい機会となったはずだ。

ユーモアを交えながら熱く語る小園英昭・上海クイックマイツ総経理 

2日目も多くの学生たちが会場に訪れた 

 

人民中国インターネット版 2011年9月23日

 

 

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