(三)円と人民元の債券市場の健全な発展
債券市場は将来的に、中日両国が金融市場協力を推進する上で重要になってくる。両国が円と人民元の債券市場の健康的発展を推進すれば、日本が中国国債を購入できるのみならず、日本企業は東京やその他の海外市場で人民元建て債券を発行できる。国際協力銀行(JBIC)も中国大陸部で、試験的に人民元建て債券を発行することになる。欧州債務危機および米国債務危機の影響、特に米国債格下げの世界株式市場に対する構造的リスクを受け、アジア各国の債券の安全性が世界の投資家から注目されつつある。
近年、中国を含めたアジアの新興国の本国通貨建て債券市場は、世界市場における比率を高めている。アジア開発銀行のデータによると、アジアの新興国の本国通貨建て債券市場が世界市場に占める比率は、1996年から2010年の間に2.4%から9.3%となった。うち中国は0.2%から4.7%に上昇した。
金融市場を構成する債券の対外開放の程度は、金融システム全体の対外開放の全体的な進展と密接に関連している。経済のグローバル化が進む今日、地域債券市場の提携の加速化に伴い、債券市場の開放に向けた取り組みも必然的だ。
中国債券市場の開放は、順を追い着実に前進している。開放の全体的な原則は、金融システム全体の改革と実体経済の発展を結びつけ、調和させることである。国内債券市場の発展を推進すると同時に、アジア債券市場の発展に貢献する。またアジア債券市場を、通貨・為替レート政策と結びつけ、債券市場の開放の過程において金融の安定を重視する。これにより中国債券市場を、アジア金融市場の支柱とする。
(四)金融協力の強化、円・元建て金融商品とサービスの提供
現在人民元を保有しているのは、主に香港・マカオおよび一部の新興国である。人民元が将来的に、日本という先進国の外貨準備高となれば、人民元の国際化に向けた画期的な進展となる。現在、人民元は国際市場において、より多くの注目を集めている。2008年より、中国は13の国や地域と通貨交換に関する協定を締結しており、人民元の国際化を推進している。通貨の交換等の手段により、人民元は徐々に各国の外貨準備高となっている。今月22日と23日、中国人民銀行はタイとパキスタンの両国と、二国間通貨交換協定を締結した。近年、各銀行も金融市場の焦点を人民元に合わせており、オフショア人民元両替や人民元のノンデリバラブル・フォワード取引等、関連取引が大幅に増加している。DBSグループ金融市場業務総監の武維洪氏は、「かつて当社の取引の8割は香港ドルに占められていたが、現在はオフショア人民元が約5割を占めている。来年、人民元関連の取引件数が、香港ドルを上回る見通しだ。人民元業務は、当社の金融市場部の新たな原動力となる」と述べた。
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