中日韓FTAの形成を楽観視
菅直人元首相は2010年、経済界出身の丹羽氏を中国大使に任命した。ある日本の政治家は同氏を「民間企業出身であり、ビジネス経験豊かで中国とのビジネスを熟知している」と評価し、メディアは「民間出身で初の中国大使」、「中日経済貿易関係の発展促進に期待」などと報じた。
そんな丹羽大使は日中経済貿易で最も潜在力のある分野について、「中国は莫大な人口を抱え、消費市場も大きい。日本にとってはこれが最も大きなビジネスチャンスとなる」とした。中国が内需拡大、経済発展に重点を置くことは日本経済の発展を刺激することにつながる。丹羽大使はまた、将来的に中日間で世界最大の統合市場を形成できることを望んでいる。「両国が隣国である事実は変わらないし、互いに離れることはできない。日中経済の共同発展はアジア経済の振興・繁栄にとって極めて重要な役割を果たすだろう」。
丹羽大使は中日韓のFTA形成については楽観的な見方を示した。FTAの実現可能性を検討すべく中国、日本、韓国が実施した産官学共同研究は昨年末に終了している。共同研究の結果は今年の日中韓首脳会談に提出される。
丹羽大使は、共同研究の結果に基づき、FTA協定が正式な交渉段階に入ること望んでいる。「3カ国はFTAに留まらず、将来的にはアジアのその他の国を取り込んで徐々にアジア経済の一体化を形成していかなければならない。現在、アジア各国、特にASEANとの貿易は日中両国の貿易において大きな比率を占めている。将来、日中はアジア市場を引き続き開拓し、アジア諸国の経済発展を牽引していくべきだ」とした。
インドネシア・バリ島で昨年末行われたASEANサミットで、米オバマ大統領はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の推進を打ち出した。米国の同盟国である日本もすでにTPP交渉の参加を宣言している。
日本のTPP交渉参加が東アジア共同体の進捗に影響するのではないかとの質問に、丹羽大使は「そうではなく、むしろTPPの進捗に影響が出る可能性がある」とし、「TPPと東アジア共同体構想は同時進行で推進するべきだが、TPPは参加条件が厳しく、各経済体への要求も厳しい。国が十分な健康体でないと、『風邪』を引きかねない」との見方を示した。
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