文・写真=井上俊彦
4月23日、日本の国際交流基金北京日本文化センターがさまざまな分野で活躍する日本のトップランナーを中国に招き、中国の若者を対象に実施する「現代日本探索」シリーズの第3回として「現代撮影中的性別問題」講座が北京日本文化中心で開催された。
講師は、東京都写真美術館首席キュレーターの笠原美智子氏。同氏は美術評論家・写真評論家でもあり、明治学院大学非常勤講師も勤めている。東京都写真美術館には設立前からかかわっており、現在も積極的に写真展の企画を行っている。
この日会場には早くから熱心な参加者が集まり、開講前には100人を超えてほぼ満員状態となった。参加者は主に学生や若い社会人で、カメラを携えている人も多かった。
講座は、まず東京写真美術館の成り立ちや運営情況から始まり、開催された展示について、作品のスライドを表示しながら解説する方法で進められた。ジェンダーの視点からの解説に加え、昨年の大地震で被災した作家のその後の活動なども紹介するなど、幅広く日本の写真芸術の情況を説明する内容豊富な講演に、参加者は熱心に聞き入っていた。
1時間の講演に続いてQ&Aがあり、ジェンダーをめぐる質問、中日両国の写真芸術を取り巻く問題に関する質問が出された。中国ではフリーの写真家が活動していくのは生活面で非常に難しいが、日本の情況はどうなっているのか、などの質問があり、笠原氏はこれは日本にも共通する問題であると説明。さらに笠原氏は、最近行った中日韓での作品審査などから、写真芸術の特徴を国別に分類して考える時代ではすでになくなっているのではなど、豊富な経験からの視点を披露し、会場の参加者たちも大きな啓示を受けたようだった。
「現代日本探索」シリーズは、同センターが昨年4月からスタートさせたもので、これまでにアートディレクターの北川フラム氏やインダストリアルデザイナーの川崎和男氏らが講演を行っている。
人民中国インターネット版 2012年4月24日
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