このところ、中日間は釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題に揺れ、日本でも大きな話題となっている。日本最大の全国紙「読売新聞」は16日、国民調査結果を掲載し、65%の日本人が「日本政府が釣魚島を国有化すること」に賛成、反対票は20%のみとした。一方で「産経新聞」は次のように批判する。日本政府は丹羽宇一郎駐中国大使に短期間で北京―東京を行き来させたが、触発された国民感情は短期間では元に戻らない。このまま、丹羽大使を「無罪釈放」してしまっては、中国への抗議の意味合いが薄れる。今、釣魚島問題は日本でも注目を集めており、その主流は中国への強硬姿勢となっている。一般の国民の間でも「日中戦争が勃発したらどちらが勝つか」が話題となっている。
日本では、現在多くの右翼勢力が政治の右傾化を推進し、その勢いを増している。事実、日本政府はこの渦に巻き込まれ、方向を見失っているようだ。だが、今のところ、中日両国間で深刻な衝突が勃発することは無いだろう。なぜなら、大国同士の戦争は極めて重大な事態であり、情勢が更に悪化すれば、周辺各国の利益にも影響が出てくることになる。こうなれば、最初に動くのは米国で、緊迫した事態の緩和に全力を注ぐに違いない。
米・ニューヨークタイムズは中日間の緊迫状態について、領土と歴史問題についての見解の相違が「日本をアジア諸国から孤立」させることになったというコメントを掲載している。中日間の緊迫状態が長引くことは日本にとってマイナスに働く。それは、多くのアジア太平洋諸国の反感を買い、米国の戦略的アジア回帰を阻む可能性があるためだ。更に言えば、戦争勃発の火種が存在するのは中日間とはいえ、日本はやはり米国の顔色を窺いながら行動せざるを得ず、米国による表・裏いずれかの支持が無い限り、その戦いに勝つ自信を持つこともできない。
従って、釣魚島問題における日本の態度は短期的に大きく変わることは無いだろう。双方の見解の食い違いは激しさを増し、なかなか妥協点が見つからない。だが、釣魚島問題だけが中日関係の全てではないことくらい、日本の政治家たちも分かっているはずである。ここでいつまでも騒ぎ立て、中日関係にひびが入れば、日本のダメージは中国のそれより遥かに大きいものになる。
また、中日両国の貿易額は今年の上半期だけで1383億ドルに達する膨大なもので、これも両国が大きく衝突しない原因の一つとなっている。この貿易を失うことはお互いにとってかなりの痛手となる。もし今回の件で中日両国が対立するようなことになれば、日本が受ける経済的ダメージは計り知れないほど大きなものとなる。なぜなら、低迷する日本経済にとって巨大な中国市場は何物にも代え難い生命線となっており、中国への輸出によって日本経済は何とか維持できている状態なのである。
一方、中国にとって今回の釣魚島をめぐる紛争の再来は、そのタイミングが悪かった。地理政治情勢において劣勢にある中国は、短期的な平和のために日本の攻勢に屈することはできず、かといって武力行使もできない。従って、釣魚島の危機は、中日関係の発展にとっての試練であり、同時に中国上層部の政治手腕を試す難題であり、なんとも厄介で高度な外交手段を必要とする大きな政治的駆け引きと言える。(文=陳光文)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月19日
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