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日本企業の脱中国化、虚と実を分析

 

閉幕したばかりの第112回中国輸出入商品交易会(広州交易会、略称は広交会)において、日本のバイヤーが前回比29.4%減となった。「読売新聞」はこれとほぼ同時に、トヨタ自動車が年内に中国で減産を継続する方針を確定し、生産規模が約2割減になると報じた。さらにこのほど報じられたファミリーマートの中国出店計画の延期、ダイドーリミテッドの中国開店数削減計画等が事実であれば、日本企業の「脱中国化」の動きがより表面化したことになる。上海証券報が伝えた。

野田内閣による釣魚島(日本名・尖閣諸島)の購入という茶番劇を受け、シャープの中国テレビ市場のシェアが8.8%から4.7%に、ソニーが5.9%から4.4%に、パナソニックが0.4%に、東芝や三洋等の日本ブランドが1%以下に低下した。中国の8月の日本車販売台数は2%減となったが、9月の日産の新車販売台数は前年同月比48.9%減、トヨタは35.3%減、ホンダは40.5%減となった。調査機関は、日本自動車メーカーは操業停止により約1万4000台を減産し、損失が約2億5000万ドル(約200億円)に達したと指摘した。ロイター通信の調査によると、釣魚島問題が悪化を続けるとする判断から、日本企業の約41%が中国から撤退し、その他の国と地域に事業を移転することを検討しているという。

しかし、日本企業の中国撤退の唯一の理由、決定的な要因は釣魚島問題であるとする見方は、やや公平性を失している。韓国・中国家電業界からの競合圧力、市場の変化に対する反応の鈍さにより、日本家電メーカーは赤字に陥っている。年初より、パナソニックが中国の大規模なリストラを決定し、ソニーや日立も中国でのテレビ生産規模を削減している。シャープは2011年度に創立以来最大規模となる赤字を記録し、ソニーは8年連続で赤字を計上し、パナソニックも通年で赤字に陥った。日本の主要家電メーカーは戦略調整の必要性により、中国市場からの一部撤退を迫られている。一方で、日本車の中国における研究開発も、ゼネラル・モーターズやフォルクスワーゲンに遅れを取っている。日本車は中国市場で近年、欧米車によりシェアを食い込まれており、一部事業を手放し経営を維持することが、苦しい選択肢となっている。

中国のコスト増も、日本企業の投資先変更の主因となっている。ボストン・コンサルティングによると、中国の人件費はアジア7カ国を上回っており、このうちベトナムの人件費は中国を15-30%、インドネシアは40%下回る。人件費が最も低いバングラデシュは、中国のわずか5分の1だ。この影響を受け、日本の2011年度の対東南アジア直接投資額は1兆5000億円に、対中国直接投資額は1億円のみとなった。日本の今年7-8月の対東南アジア投資額は1800億円に達し、対中国投資額の1500億円を上回った。ホンダはインドネシアで270億円を投じ、新たな自動車製造工場を建設中で、2014年の稼働を予定している。トヨタはタイで169億円を投じ、新たな生産拠点を建設中で、来年上半期に稼働を予定している。日本最大の百貨店の一つである高島屋は、今後5年間で東アジアに350億円を投資する予定で、これは対中国投資額の2倍以上に相当する。

中国以外の要因も、一部の日本企業に対して中国からアジア諸国への移転を促している。中国は2015年末までに、ASEANと自由貿易協定を締結する予定だ。これにより、ASEAN諸国の対中国輸出関税は平均で0.1%となる。日本企業がベトナムのハノイ付近で生産した商品を中国の広東省に輸出した場合、中国の北方もしくは中部から南方に輸送するより安上がりになる計算だ。

このため、日本企業による短期的・部分的な「脱中国化」が、中国市場からの完全撤退もしくは中国との商交流の断絶を意味するものだとするならば、大きな間違いだ。日本の関係者の計算によると、中日両国の経済融合度はすでに29%に達しているという。これが30%を超えた場合、両国は一つの国家と見なすこともできる。資料によると、昨年の中日両国間の貿易額は3428億9000万ドルに達した。中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、日本の対中国輸出額は輸出全体の20%を占めている。現在2万社の日本企業による対中国直接投資残高は5兆ドル以上に達しており、機械製造業、自動車産業、ファインケミカル、小売業等に向けられている。中国は、日本企業の海外市場における、最も重要な収入源となった。そればかりではない。専門家によると、日本企業の対中国投資額は現在も毎年約50億ドルのペースで増加している。日本企業は13億5000万人の人口を持つ、巨大な消費市場を重視しているのだ。

中国は広大な市場であり、それ以上に大規模で頼りになる生産拠点であることを、日本企業はよく理解している。中国はトップレベルの物流インフラを持ち、市場が成熟化・規則化に向かっている。グローバル企業が中国市場のハイエンド分野に対する投資を増加するに伴い、中国は企業の技術力向上に対してより重要な役割を果たすようになるだろう。一方で東南アジア諸国は、政局混乱や労使間の紛争等、政治的なリスクが高い。日本企業が単純に中国市場からの撤退を選択すれば、高額の機会費用を負担することになる。

実際に、一部の日本企業が中国から撤退する一方で、中国市場での投資と経営を強化している日本企業もある。ホンダの最新の計画によると、同社は来年より3年間に渡り、中国市場で10車種以上の新車を発売する。三菱重工も中国市場のさらなる開拓により、2012年に中国で100店舗を開設する。また日本最大の衣料品小売企業であるユニクロも、中国で毎年100店舗開設する計画を推進中だ。イオングループは、天津・蘇州・広州における大型ショッピングモール開設の構想を練っている。企業による投資増加を受け、今年1-9月の日本の対中国投資額は、前年同期比16%増となった。

日本企業のいわゆる「脱中国化」は、偽の命題に過ぎない。

 

「人民網日本語版」2012年10月25日

 

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