中国社会科学院は本日北京で、「2013年国際情勢白書」(「世界政治・安全報告書(2013)」)を発表した。同白書は、釣魚島問題のエスカレートにより、中日関係が国交正常化以来最も深刻な状況に陥っており、同問題のさらなるエスカレートにより武力衝突が生じる恐れがあると指摘した。同白書の内容は下記の通り。
釣魚島問題のエスカレートにより、中日関係が国交正常化以来最も深刻な状況に陥っている。同問題における日本側の強硬姿勢、中国の国家領土主権を守る強い意志を考慮すると、同問題のさらなるエスカレートにより武力衝突が生じる恐れがある。
今回の釣魚島問題の激化、および中日関係の大幅悪化の直接的な原因は、野田政権の釣魚島に対するいわゆる「国有化」という決定の判断ミスだ。しかしさらに掘り下げて考えると、中日両国の近年の釣魚島問題に関する一連の摩擦と対立は、中日関係の持続的な緊張、関係悪化、膠着化の縮図に過ぎない。このような局面を招いた原因はさまざまだ。
これまで「日強中弱」というバランスに慣れてきた日本は現在も、中国の急速な台頭という事実を受け入れられていない。日本は中国の国力の強化、影響力の拡大に対して、不安と懸念を抱いている。このような焦燥感は対外戦略、つまり日米同盟関係の強化、中国に対する戦略的抑制に現れている。日本は軍事面で、中国を主な警戒対象、潜在的な脅威としている。日本は外交面で、中国を包囲・牽制する抑制網の構築に取り組んでいる。
中日関係の多くの問題は、このような構造的な不一致と密接に関連しており、同状況が短期間内に改善されることはない。両国は経済面で相互依存を強めているが、東日本大震災における良好な交流もまた、このような情勢を効果的に緩和しなかった。
現状を見る限り、米国の「アジア太平洋回帰」戦略の強化は、日本の地域安全戦略・外交政策における「パルス反応」を引き起こしたことは間違いない。
日本国内の政治家は、中国の台頭と経済成長に対して、乱れた反応を示している。日本の政治舞台の中心、首相の座を伺う政治家らは米国のアジア太平洋回帰の際に、日本を普通の国家・軍政大国に向かわせている。
日本の一連の行動は、日本が「専守防衛」の国防指導的思想を放棄し、「平和の信仰」から離れていっていることを十分に示している。日本は現在まで唯一、第二次世界大戦の侵略行為に対して深く反省していない国家であるが、海外はその政治環境に対して警戒を強めるべきだ。
日本政府もしくは極端な右翼分子が摩擦を強めようとすれば(島に施設を新設し、人員を常駐させる。島の買い取りにより関連法を改正し、自衛隊の関連島嶼に対する防衛力を高め、脅威を増す等)、中日関係および北東アジア地域の安全がさらに脅かされるだろう。釣魚島問題、中日関係の今後のリスクは、まさにここにある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年12月25日
|