中国では最近、親が子どもの下校時間にあわせてクルマや自転車、三輪車などを運転し、早くから校門前で待つ現象が交通渋滞を招くとして、「中国式送迎」と呼ばれ問題視されている。では、子どもの下校をめぐり、中日両国にはどのような違いがあるのか。人民網が伝えた。
「中国式送迎」が保護者の関心を集めている背景には、子どもの安全や教育に対する懸念がある。交通ルールに従わないクルマが多いため、子どもが危険な目に遭ったり、悪いマナーを覚えたりするのを心配している。
「中国式送迎」は社会に対する安心感が欠けていることの表れだ。「中国式送迎」をなくしたいのなら、生活習慣に矛先を向けるのではなく、社会の安心感を高め、子どもが安心して通学できる環境をつくる必要がある。
日本を見てみよう。小学校校門では朝と午後の登下校時間にクルマが集まり、保護者であふれかえる光景はみられない。日本の子どもは小学1年生になると、保護者の送り迎えはなくなる。日本社会の治安は良く、送り迎えをしないのは子ども達の自立の第一歩と保護者達は考えている。小学校入学前、保護者は子どもに付き添い登下校の道を歩く。子どもに道順や路上での注意事項を覚えさせ、入学後、子どもは自分で登下校できるようになる。中国人なら「幼い子どもに万一のことがあったらどうするのか」と感じるかもしれない。
日本の小学校は人口密度に相応の校区があり、子ども達は徒歩15-20分以内で登校できる付近の学校に入学できる。スクールバスがあり、毎日決まった場所で送り迎えする学校もあるが、ほとんどの小学生は徒歩で登下校する。教諭はひとつの地域内で子どもができるだけ集団登下校できるよう割り振り、高学年の児童が低学年といっしょに下校することもある。集団登下校には「登下校班」がある。地域ごとに区分けされ、高学年児童が班長に選ばれる。班長は全員が無事に帰宅できるよう責任を持つ。たかが班長と見くびってはいけない。責任は重いのだ。
不意の事態を防ぐため、警察・学校・保護者は協力し、登下校に関するきまりを設けている。「登下校班」の子ども達の保護者は毎日メールで子どもと登校・帰宅時間などを連絡し、問題があればお互いに知らせる。学校には保護者の両親が出張で不在の子どもの登下校を見守る教諭もいる。路上の警官は小学生に出逢うと子ども達に必要な手助けをおこない、自宅までつきそうこともある。
日本の小学生は皆おそろいのカバンや帽子を身に付けており、小学生だとすぐにわかる。子ども達が道路を横断したいときドライバーは必ずクルマを止め、子ども達を優先する。小学生が電車、バスに乗っているのを見掛けた際は、大人達は乗り越さないように気を配る。
2010年にはGPS機能のついた子ども用携帯電話も日本で開発された。3、4個のボタンだけがついたシンプルな携帯電話で、ボタンを押すだけで保護者や担任教諭に直接ダイヤルできるほか、110番も可能だ。子ども達は毎日首にかけ、子どもが時間通りに帰宅しない場合、保護者、担任は自分の携帯電話で子どもの現在地を確かめることができる。
「人民網日本語版」2013年4月10日
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