今日、われわれは中国で最も活力がある都市のひとつ――江蘇省蘇州に集い、第四回中・欧政党ハイレベルフォーラムを共催する。まず、私が中国共産党を代表して、フォーラム開催に熱烈な祝賀の意を表し、来賓の皆さま、とりわけ遠路はるばる来られた欧州の友人の皆さまに熱烈な歓迎の意を表す。
このフォーラムは、中国と欧州の政党間交流の最も代表的なメカニズムで、中・欧関係の促進に積極的に貢献してきた。ここ数年来、中・欧関係は日増しに緊密さを強め、相互依存関係も深まっている。今年は中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの創立10周年に当たり、また中・欧首脳会談メカニズムの発足からちょうど15周年の節目にも当たる。「協力を模索し、ウインウインを目指す―中・欧関係の新たな飛躍」をテーマとしたフォーラム開催は、必ずや、中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの強化に重要な影響を与える。
ご存知のように、昨冬と今春は中国の政治活動が最も多忙な季節だった。われわれは中国共産党第18回全国代表大会(党大会)、第12期全国人民代表大会(全人代)第一回会議、中国人民政治協商会議(全国政協)第12期全国委員会第一回会議を成功裏に開催し、習近平党総書記・国家主席をはじめとする中国の新たな党と国家の指導グループが選出され、中国の今後の発展を描いた青写真を明らかにし、以下のような目標を掲げた。2020年までに、中国の国内総生産(GDP)と都市部・農村部住民の一人当たり所得を2010年比で倍増させ、小康社会を全面的に実現する。今世紀半ばまでに、富強、民主、文明的で調和のとれた社会主義現代化国家に築き上げ、その基礎の上に、中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現させる。
われわれは、こうした目標をしっかり堅持し、次の各方面に力を入れる。
一、経済成長のモデル転換を加速し、発展の立脚点を質と効率・利益の向上に移す。二、人民民主の発展に力を入れ、中国の特色ある社会主義政治発展の道を堅持する。三、文化の繁栄と発展を促進し、人民の精神・文化生活を豊かにする。四、民生の保障と改善を堅持し、人民の生活レベル向上に努力する。五、エコ文明の建設を強化し、美しい中国の建設に努力する。ここで指摘しておくべきなのは、この30年来の変化は改革開放から得られたものであり、中国の未来の発展には依然として改革開放が欠かせない、ということである。改革は現在進行形であり、現在完了形ではない。開放の門はすでに大きく開かれ、また永遠に開かれている。われわれは改革開放の深化を経済・社会の発展の各方面に徹底させ、小康社会の全面的な実現と社会主義現代化建設の全プロセスに徹底させ、未来の中国の発展に絶えることのない原動力を提供する。
習近平総書記は「中国の夢」という概念を提起し、現在、中国人だれもが「中国の夢」を語り、描き、国家の富強、民族の振興、人民の幸福を実現するという目標に向かって、力を尽くして前進している。困難に満ちた長期にわたる模索の時期を経て、とりわけ改革開放の偉大な実践を経て、われわれは成功裏に中国の発展をけん引する正しい道を歩んできた。即ち、中国の特色ある社会主義の道である。まさにこの道を堅持してこそ、中国は30年余連続して、ほぼ10%の経済成長率を維持し、住民の所得は30倍以上に増え、世界の貧困減少事業に70%を超える貢献をしてきた。まさにこの道を堅持してこそ、30年余の改革発展を経て、現在、われわれはいかなる時よりも民族の復興という目標に近づいている。「中国の夢」を実現するには、中国の特色ある社会主義の道の堅持が不可欠であり、中国精神を高揚させ、中国の力量を結集させなければならない。「中国の夢」とは、結局のところ人民の夢であり、その根本的な目標は人民に幸福をもたらすことである。国家と民族の発展を促進するためには、一人ひとりが自らの夢を描くように励まし、また一人ひとりがすばらしい人生を送るチャンスを共に享受でき、夢が正夢になるチャンスを共に享受でき、祖国と時代とともに成長と発展するチャンスを共に享受できるような条件を創り出さなければならない。
在席の皆さんは「中国の夢は世界にとって何を意味するのか」と、尋ねたいだろう。われわれの答えは、「中国の夢」の実現が世界にもたらすのは、平和であり、発展であり、協力であり、そしてより多くのチャンスであり、決していかなる脅威ではない。
中国人民は古くから平和を愛し、調和を崇め、開放的で寛容するという歴史的伝統を持ち、不安定を恐れ、平和を望み、発展を図ってきた。「中国の夢」は、平和の夢であり、調和を求める夢であり、「中国の夢」の実現によって、世界各国により多くのチャンスを提供する。ここ数年、アジア金融危機への対応であれ、国際金融危機の防止であれ、市場の開放とグローバルガバナンスにしろ、中国は常に大局に着目し、できる限り責任と義務の履行に尽くし、重要な貢献をしてきた。2012年、中国の貿易総額は3兆8千億ドルを上回り、貿易規模において世界最大の国になった。今後5年間、中国は10兆ドル前後の商品を輸入し、対外投資は5000億ドルに達し、海外旅行者は延べ4億人を超える見通しである。こうしたことのすべてが世界経済の発展に大きな活力を注ぎ込むに違いない。
中国に「困窮の時は独りで身を修め、出世した後は天下の者を助ける」という古いことわざがある。人口が世界の5分の1を占める国の安定と発展は、人類の発展への重要な貢献そのものである。また、発展を遂げた中国は世界の平和と発展の有力な保障となろう。「中国の夢」を実現させるプロセスで、中国は揺るぎなく平和発展の道を歩み、終始、互恵共栄の開放戦略を遂行し、永久平和と共同繁栄という世界の夢の実現により多くのプラス・エネルギーを提供していく。
われわれは世界、そして欧州と「中国の夢」を分かち合いたい。今、世界は多極化、経済グローバル化、情報社会化が進み、各国は相互に連係し、相互に依存し合いながら、ひとつの「地球村」に生存している。中国と欧州の運命はかつてないほどに緊密に結びついており、EU(欧州連合)は中国にとって最大の貿易パートナーであり、また技術供給国で、中国はEUにとって最大の輸入国と2番目の輸出市場である。この10年間、中・欧貿易額は800数億ドルから5460億ドル以上に増えた。人的往来は年間延べ500万人に達し、中・欧間を毎日70便が往復している。中・欧は多角主義の提唱、グローバルガバナンスの強化、世界経済の好転の促進、各種のグローバルな問題の対応といった面で数多くの共通利益と似通った主張があり、多数の注目されている国際・地域問題において、幅広い協働と協力を実現した。このすべてが中・欧関係が絶えず強化かつ深化していることを示す具体例である。
中・欧関係の新たな飛躍を促すには、次のようないくつかの面から共に努力しなければならない。
第一、ウインウインの理念を堅持し、中・欧の全面的な戦略的パートナーシップといった正しい方向性を把握する。ウインウインの理念は中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの核心である。相互依存の世界で、国家間の関係は「食うか食われるか」の競争でも「勝つか負けるか」の勝負でもない。「相互依存は重要なキーワードである。こちらの成功はそちらの成功で、そちらの成功もこちらの成功である」と、欧州理事会のヘルマン・ファン・ロンバイ議長は言っている。中国は一貫して欧州一体化のプロセスを支持し、欧州による債務危機への対応を支持し、欧州の一致団結と繁栄富強を中国と世界にとっての朗報だと見なしている。欧州は中国の改革開放を支持し、中国の発展を欧州にとってのチャンスだと見なしている。自他共に発展し合ってはじめて世界は発展する。われわれは社会制度の相違を超え、ゼロサムゲームの考え方を捨て、力を合わせて難関を切り抜ける「同舟共済」とウインウインの理念を積極的に実践し、互いに寛容し、良性の競争を行い、利益を分かち合い、権限と責任を共に担うべきである。
第二、協力の「パイ」を拡大し、中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの実現に向けて経済的基礎を突き固める。中国が小康社会を全面的に実現し、欧州が「2020戦略」を遂行するプロセスで、双方の共通利益が増え、協力関係を深める新しいチャンスに恵まれている。中国の経済成長モデルの転換、拡大しつつある消費、対欧州輸入および投資は欧州の関連産業に新しいビジネスチャンスをもたらし、欧州の経済成長と雇用創出の環境づくりの重要な要素となる。EUの先端的な発展理念、マネジメント経験と科学技術も中国の発展の新しい原動力となる。われわれは協力の形式を革新し、協力の分野を拡大し、双方の貿易バランスと持続可能な発展を促進していく。科学研究とイノベーションでの協力を強化し、エネルギーと環境保護での協力を深化させ、中・欧の都市化におけるパートナーシップを推進し、都市化、グリーン経済、科学技術のイノベーションなどを中・欧協力の新しいシンボルに位置づけていく。
第三、社会・文化的交流を強化し、中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの精神的な絆を構築する。「国の往来は国民の交流に基づき、国民の交流は心の相互理解に基づく」。中・欧関係の強化は、経済貿易の利益を物質的な基礎とすることが必要であるだけでなく、国民の相互理解と相互信頼を精神的な保障とすることも必要である。文明的な対話があってこそ、はじめて心の交流がある。交流してはじめて理解でき、理解してはじめて寛容になることができ、寛容になってはじめて相互信頼が生まれ、「同舟共済」とウインウインの意識をはじめて絶えず強めることができる。われわれはより積極的に双方の社会各分野の交流を推進し、文化領域での協力を強化し、民間交流をもって、中・欧友好の社会的基礎と民意の基礎を固め、文化的交流によって、国民の相互理解と友情の橋を懸けなければならない。
第四、相違と摩擦を適切に管理・抑制し、中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの大局を着実に守る。中国と欧州は歴史・文化、社会制度、発展の段階がいずれも相違があるので、一部の問題において考え方が異なることはごく正常なことである。双方の経済貿易関係がより密接になり、相互往来が増えるにつれ、いくらか競争と摩擦が生じてくることも免れないことである。われわれは互いに尊重し合い、理解し合い、平等に対応し合い、譲歩し合い、相手の立場になって考える習慣を身に付け、自らの利益を守るとともに相手のことも合理的な関心を寄せ、対話と協商を通じて妥当に意見の不一致を解決し、中・欧のウインウインの大局を維持すべきである。
第五、グローバルな試練にともに直面し、永久平和と共同繁栄をもつ調和的な世界の構築を手を携えて推進する。中・欧は現在の世界構造における重要な勢力として、世界の平和と発展を守る重大な責任を担っている。人類は金融危機、資源不足、気候変化、核安全、テロリズムなどグローバルな試練に直面している。これらの問題は一カ国の力では対応し得ず、中・欧は手を携えてともに対応しなければならない。中・欧双方が積極的にグローバルガバナンスに参与し、貿易と投資の自由化・利便化を推進し、さまざまな形の保護主義に反対し、グローバルな問題と地域的に注目されている問題において、継続的にコミュニケーションを強化し、互いに支持し合うべきである。中・欧双方の努力の下で、われわれは絶えず深化しつつある中・欧の全面的な戦略的パートナーシップを必ずうまく営み、守ることができ、世界の平和と発展のために貢献できると信じている。
政党は現在世界各国の政治体系の核心であり、政党間関係は国家間関係の重要な構成部分である。中・欧の政党間の往来は早くから始まり、成果も収めており、中・欧国民のコミュニケーションと理解を増進し、相互関係の発展を促進する中で、独特な役割を果たし、各分野の実務的な協力の重要な懸け橋となっている。中・欧の全面的な戦略的パートナーシップの強化に伴い、政党間往来の重要性もさらに高まり、協力する余地は絶えず拡大しつつある。中国共産党は欧州各政党との関係を密接に保ち続け、ハイレベルの指導者、青年政治家との交流を強化し、政党運営、国政運営の経験に関する交流を強化し、ともに関心をもつ重要な問題、注目されている問題に関する対話を強化し、さまざまなレベルの、さまざまなチャンネルによるコミュニケーションのメカニズムを構築し、双方の全面的な戦略的パートナーシップを推進し、双方の国民の福祉を増進するため、さらに努力することを願っている。
最後に、来賓の皆さまが今回のフォーラムというプラットホームを生かして、言いたいことを言い、交流を深め、「同舟共済」の意識を高め、中・欧がウインウインを享受する美しい未来を共に創ることを心から念願している。(2013年4月22日)
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プロフィール |
劉雲山 党政治局常務委員 |
漢族、1947年7月生まれ、山西省忻州出身。1966年9月就職、1971年4月に中国共産党に入党。中央党校大卒。現在党中央政治局常務委員、党中央書記処書記。 |
1964~1968年、内蒙古自治区集寧師範学校で学ぶ。1968~1969年、内蒙古自治区トゥムド左旗把什学校教師、トゥムド右旗蘇卜蓋公社で労働鍛錬。1969~1975年、内蒙古自治区トゥムド右旗党委員会宣伝部幹事。1975~1982年、新華社内蒙古支社農牧班記者、副班長、支社党組メンバー(その間、1981年3~8月に中央党校で学ぶ)。1982~1984年、中国共産主義青年団内蒙古自治区委員会副書記、党組副書記。1984~1986年、内蒙古自治区党委員会宣伝部副部長。1986~1987年、内蒙古自治区党委員会常務委員、宣伝部長。1987~1991年、内蒙古自治区党委員会常務委員、秘書長兼自治区直属機関工作委員会書記。1991~1992年、内蒙古自治区党委員会常務委員、赤峰市党委員会書記。1992~1993年、内蒙古自治区党委員会副書記兼赤峰市党委員会書記(1989~1992年に中央党校通信教育学院党政管理学科で学ぶ)。1993~1997年、党中央宣伝部副部長。1997~2002年、党中央宣伝部副部長(1997年10月から正部長級に)、党中央精神文明建設指導委員会弁公室主任。2002~2012年、党中央政治局委員、党中央書記処書記、党中央宣伝部長。2012年から、党中央政治局常務委員、党中央書記処書記。中国共産党第12・14期中央候補委員。第15・16・17・18期中央委員。第16・17期中央政治局委員、中央書記処書記。第18期中央政治局委員、常務委員、中央書記処書記。 |
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