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「永不瞑目」や「玉観音」などの恋愛小説で人気を博した著名作家・海岩氏が5年の歳月を経て、このほど新しい長編小説「長安盗」を出版した。この小説は、中国陝西省西安市で実際に起こった驚愕の盗掘事件を素材にしたものだ。13日に北京で行った取材によると、海岩氏は近年、創作意欲が沸かず、いまの拝金時代の愛をテーマにした小説などなおさら筆が動かなかった。描くテーマを変えて歴史小説を書こうとしていたところに今回の仕事が舞い込んできた。海岩氏は半年間をかけて23万字に及ぶ実録の盗掘小説を書き上げた。海岩氏は「ネット上にあふれている盗掘小説とはまったく別もの」と強調し、「新作の見どころはリアリティーと文学的な構成にある」と語った。 「揚子晩報」が伝えた。
■「嫌々受けた仕事」が「喜んで受ける」仕事へと変化
海岩氏は新作について、「これは与えられたテーマとして書いたもの」だと率直に語る。2010年6月17日、西安市公安局は約5年間の努力の甲斐あって、唐代「貞順皇后敬陵盗難事件」で盗まれた石室を米国から取り戻した。このニュースが中国中央テレビ(CCTV、日本のNHKに相当)のニュース番組で放送されると、大きな反響が起こった。「公安局の関連部門の人が私に連絡してきて、この事件を是が非でも本にしてほしいという。しかし、私は本当に時間がなかったし、書きたくもなかった」と語る。公安局を辞めてもう何年にもなるが、全国公安中国文学芸術界連合会の副主席を務めたこともある海岩氏は、この依頼を断りきれず、また、公安局のために何か貢献すべきだと思い直したという。
「陝西省歴史博物館と盗難事件が起こった現場に向かい実際取材をしてみて、正直驚いた。石棺の蓋の上に立体的に彫られているレリーフが比類がないほど美しく精巧だった。重さは23トンにも及ぶ。石棺は多くの石で組み合わさっていたが、盗掘団が恐らく石室を細かく分解して海外に運んだと思われる。とにかく、非常に貴重な唐代文物の逸品だった」。このように盗まれた石室を実際に目にしたことで、「嫌々受けた仕事」が「喜んで受ける」仕事に変わったのだという。先に映画のシナリオを書き上げ、そこから小説に広げて行ったという海岩氏は「この小説の見どころはリアリティーと文学的な構成にある」と強調した。
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