日本の丹羽宇一郎前駐中国大使は神奈川県日中友好協会が横浜市で開催した講演会で「日本は中国との関係をできるだけ早く修復すべきだ。これは日本の将来の発展のみならず、アジアの安定と発展にも関わる」と述べた。中国新聞社が伝えた。
丹羽氏は大使在任中に、日本政府による釣魚島(日本名・尖閣諸島)国有化を批判したために解任された。丹羽氏は帰国後も批判を変えず、先日刊行した新著『北京烈日』でも「釣魚島の国有化は国際社会に理解されがたい。日本はできるだけ早く誠意を示し、中国との関係を修復すべきだ」とした。
丹羽氏は29日「平和な日中関係はアジア発展の基礎」をテーマとする講演で「安倍晋三首相は就任から半年間、日中関係の修復について責任を全うしていない。5月の中日韓首脳会議は本来日中首脳会談の最良のタイミングだったが、安倍政権の保守的な歴史問題発言と靖国神社参拝のためにお流れとなってしまった。次の機会は9月のG20サミットまで待たねばならない。その時に日中の首脳が会談できるかどうかは、まだ不透明だ。今年に入り日米、米韓、中米、中韓が相次いで首脳会談を行なった。だが日韓、日中首脳会談は遅々として目鼻がついていない。日本は受動的状態に陥っているだけでなく、国際社会から嘲笑されている」と述べた。
丹羽氏はさらに安倍氏を批判。「就任後半年間『アベノミクス』のみを語り、円安を語り、株価が軒並み上昇していると言う。これは庶民からの支持率を上げるためだけのものだ。その一方で、日本の将来の発展に関わる重大な問題、例えば原発問題、社会保障問題、憲法改正問題については口をつぐんで語らない。例えば憲法改正問題では、国民に十分に議論させる前に、憲法改正を自民党の選挙公約に盛り込んだ」と指摘した。
丹羽氏は中国の習近平国家主席が就任後、中国の夢を繰り返し強調し、13億中国国民のために幸福を図ると強調すると同時に、急速な経済成長を維持していることに言及。「これと比べ、同じく一国の最高指導者である安倍氏は多くの決断において、国民の幸福を常に最優先させてはいない」と述べた。
丹羽氏は日本の今後50年間の発展への危機感も表明。「日本にとって人口問題は直ちに直視しなければならない難題だ。人口の高齢化と少子化に伴い、40年後には日本の労働力と青少年人口は急激に減少する。その時、日本の発展を前に進めるのは難しくなる。これこそ政府が直ちに重視すべき課題だ。したがって日本は中韓両国との関係をできるだけ早く修復すべきだ。日本の発展はこの重要な2つの隣国から切り離せないのだから」と述べた。
丹羽氏は「日本は直ちに中韓両国との関係を修復すべきだ。とりわけ日中関係は停滞に陥っている。『和すれば共に利し、闘えば共に傷つく』というのは依然として日中関係の正確な描写であり、現在日中関係の安定はアジアの平和と発展に対しても極めて重要な影響がある。現在アジアが世界の注目する発展を遂げたのは、1972年の日中国交正常化以来安定・発展の大きな環境が築かれたからだ。日中が友好的関係にありさえすれば、アジア全体に利益がある」と述べた。
丹羽氏は伊藤忠商事社長を経て、2010年に民間初の駐中国大使に任命された。大使在任中、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、石原慎太郎前東京都知事の「釣魚島購入」計画に公然と反対し、中日関係に重大な危機をもたらすことになると警告した。この発言は日本国内で強烈な反響を巻き起こし、日本の野党は丹羽大使解任を要求。丹羽氏は2012年12月に退任した。
「人民網日本語版」2013年7月2日
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