「楊絳先生は心身ともに健康で、今もずっと執筆活動を行っている」。7月17日は、楊絳氏の102歳の誕生日だ。人民文学出版社の管士光社長は16日、人民網の取材に応じ、最近訪問したばかりの楊絳氏について語った。「我々は今回先生の文集改訂版について話し合い、弊社のやるべきことをうかがうために先生を訪問したが、先生の邪魔にならないかと心配で、30分程で帰ってきた」と語った。「人民網」が伝えた。
■102歳の作家、年をとるほど学習意欲が旺盛に
管社長によると、「楊絳文集」改定版は今年の年末に出版される予定だという。これには、楊絳氏の近年の作品をはじめ、多くの未発表作品が収録されている。管社長と編集担当の胡真才氏や王瑞一氏は先日、楊絳氏の家を訪問した。「我々は通常誕生日の前に先生を訪問し、文集改訂について話し合う」と語った。
「楊絳文集」の担当編集者である王瑞一氏は楊絳氏について感慨深げに語った。「先生は、本当に年をとるにつれ、学習意欲がますます旺盛となっている。先生の生活は非常に規則正しく、朝起きると運動を行い、中国導引術(気孔)をまとめた健康法である座式・八段錦を行った後、ウォーキングを行う。今でもマンションの周りを一周できる。このほか毎日、習字を行い、テレビで時事を収集し、物を書くなど、毎日の生活態度は非常に前向き。『プラスのエネルギー』に満ちあふれている。これらはすべて先生の文化や人間性に対する信念から発するもので、先生は人間は期待する方向へ発展するものだと信じている」
■「好読書」奨学金、すでに1000万元を超える
清華大学教育基金会によると、2001年に楊絳氏と夫で文学者・作家の銭鐘書氏は、これまでの原稿料や出版物の印税を母校の清華大学に寄付して、「好読書」奨学金を設立したという。2012年末までに、奨学金の寄付金は計1000万元(約1億6200万円)に達し、奨学金を受け取った本科生や研究生はすでに数百名にも上っている。
「好読書」奨学金は、楊絳氏夫妻が2001年上半期に得た原稿料と出版された全作品の報酬計72万元(約1166万円)で設立したもの。2011年に清華大学「好読書」奨学金の贈呈式の場で、楊氏は「1955年、銭鐘書が重病を患った時、我々一家3人はすべての原稿料と印税を、清華大学で設立した奨学金に寄付することを話し合いの上で決めた。この奨学金の名前は『好読書』といい、個人の名前はつけていない。奨学金の趣旨は貧困に悩む学生を助け、勉強がよく出来て、熱心に勉強する貧困家庭の子息たちが憂慮なく学業を終えることができるようにするためのもの。奨学金を得た学生は清華大学の校訓である『自ら強めて息まず、徳を厚くし物を載す』を心に銘記し、一生努力して実践していくことを期待している」と語った。
■楊絳(ヤン・シャン)氏 略歴
本名は楊季康、中国の著名な女流作家、文学翻訳家、外国文学研究家。原籍は江蘇無錫。1911年7月17日北京に生まれる。少女時代は北京、上海、蘇州などの学校に通う。1932年に蘇州東呉大学を卒業後、文学学士の学位を取得。同年、清華大学の大学院に進み、外国語文学を専攻する。1935年に銭鐘書氏と結婚。上海震旦女子文理学院外国語学部教授、清華大学外国語学部教授を歴任する。1949年、中国社会科学院外国文学研究所に所属。1981年、文革期の知識人の強制労働改造体験を書いた散文『幹校六記』を発表し国内外で高い評価を獲得、以降、散文、小説、評論などを次々と発表している。短篇小説集に『倒影集』、評論散文集に『春泥集』『回憶両篇』『記銭鍾書与囲城』『関干小説』『将飲茶』『洗澡』などがある。
「人民網日本語版」2013年7月18日
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