若手芸術家韓夢雲の絵画展「アペイロン(無限定なるもの)/In Between Islands」が2013年7月7日、北京今日美術館1号館で開幕した。
本絵画展では、「洗心」「遊心」「在宥」「代序」という4組の油絵シリーズと1組の磁器板画「断竹」、1組の水墨画「即体」が展示されている。韓夢雲氏によると、絵画展のテーマ「アペイロン」という言葉は、ソクラテス以前のギリシアの哲学者・アナクシマンドロス(紀元前610年頃~紀元前546年)によるもので、万物の根源を指す。相反するものを含むあらゆるものを生じ育てるため、「アペイロン」自身はいかなる制限と規定もない「無限定なるもの」であり続ける。このことが、彼女自身の抽象画法と創作のモチベーションにつながっている。また、氏は「これらの作品は自然の万物や風景に情を託したものではなく、それらを超越し、抽象的な「道」あるいは「理念」を表している」と述べた。
1989年に武漢に生まれた韓氏は、深圳で育ち、ニューヨークや北京、深圳を行き来してきた。アメリカ・ニューヨークのバード大学を卒業した後、現在はラトガース大学ニューブランズウィックキャンパス芸術学部で学びながら助手を務めている。
韓氏は中国の古典哲学を好み、とりわけ道学に取り組んでいる。絵画のテーマ「洗心」は『周易 系辞上』の中の言葉で、「遊心」「在宥」は『荘子』の『人間世』篇と『在宥』篇によるものである。「代序」「断竹」「即体」は中国の古典『文心彫龍』によるものである。
2009年以来、韓氏は中国の山水画における審美観と情感を、西洋絵画の抽象表現主義の大胆な色使いや表現の方法と結びつけ、西洋の油絵の中に東洋の美学を貫こうとしてきた。例えば、作品シリーズ「洗心」では、万物を超越する「道」を表すため、韓氏は具象的表現法を用いず、抽象的表現で描いている。また、氏は「留白(描き置き)」(中国の伝統的絵画手法の一つで、変化に富む空や雲霧、川を表す)を用い、「無用の用」、「虚にして物を待つ」という荘子の思想を借りて、万物を超越する「無」を伝えている。
西洋の油絵の手法、そして中国山水画の審美観や感情および道学の無限無形。韓氏の作品は「無」から「すべての可能性」を生み出し、耽美主義の世界を繰り広げている。
韓氏の作品は国内外の芸術界で注目され、高く評価されている。今日美術館館長・謝素貞や雅昌文化グループ取締役・万捷、中信銀行北京カードセンター社長・劉可東、デンマークUEGキュレーター会社社長・Teit Ritzauなども開幕式に出席した。
アメリカの評論家は韓氏を「プロフェッショナルな芸術家」と称え、その現代油絵を高く評価している。評論家Jonathan Goodmanはわざわざニューヨークから北京を訪れ、氏の絵画展のために評論を書いた。氏の作品は個人或いは関係機構によって所蔵されているそうだ。
人民中国インターネット版 2013年7月20日 |