騰訊(テンセント)のモバイルチャットアプリ「微信」(WeChat)とプロバイダーとの協力が初めて実現した。騰訊は30日、中国聯合網絡通信有限公司(広東聯通)と協力してSIMカード「微信沃カード」をうち出した。同カード利用のパックについても発表し、10元パックには300メガバイト分の微信に向ける特定の通信量が含まれることを明らかにした。「新京報」が伝えた。
▽プロバイダー OTTと協力
騰訊と聯通が手を結んでSIMカードをうち出したことは、業界内ではOTT(インターネット会社がプロバイダーの枠を越えて、ネットに基づくデータ業務を発展させること)とプロバイダーとの旅の始まりとされている。
昨年以来、国内プロバイダーの上層部は、微信などの業務がプロバイダーの通信量を大量に使用し、ショートメッセージやマルチメディアメッセージングサービス(MMS)などの業務に取って変わろうとしているとたびたび述べてきた。その後「微信有料化」の情報が伝わると、騰訊はこれを否定したが、業界では双方の関係が悪化したとの見方が広がった。
広東聯通は1年前に微信との協力をスタート。このたびの微信沃カードパックで最も注目されるのは、10元で微信に向ける特定の通信量300メガバイトを利用できるというサービスだ。中でも36元の入網沃派カードのキャンパスセットでは、特定コンテンツに微信のほかQQなど10数種類のアプリケーションが含まれている。
▽OTTのモデルケースに
騰訊公司の高級副総裁(シニア副社長)を務め、「微信の父」と呼ばれる張小竜氏は30日に行われた記者会見でのあいさつの中で、今回の動きは微信にとって初めての国内プロバイダーとの協力であり、まず広東省で実験し、それから全国に押し広げていく。OTTとプロバイダーとの協力のモデル事例になる、と述べた。
インターネット実験室が今月発表した報告によると、OTTの情報消費はプロバイダーのモバイルデータ業務への転換を後押ししている。12年の世界のデータ通信量はそれまでの数年間の合計を上回り、今後5年間の複合成長率は66%に達することが予想されるという。
電気通信分野の専門家・項立剛氏によると、プロバイダーはなんでもできる、なんでもしなければならないと考えているが、こうした考え方は正確ではない。微信沃カードは微信の新しい利用者を開拓すると同時に、プロバイダーにより多くの利益と利用者を囲い込むより多くの手段を提供するという。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)情報化研究センターの姜奇平秘書長も次のように指摘する。OTTとの協力は大きな方向性であり、協力を進めなければ電気通信事業者の可能性がより一層狭まることになる。プロバイダーはネット企業に通信量をめぐる優遇や電気通信レベルのサービスのルートを提供し、OTTはプロバイダーに費用を支払う。これが適切な協力の方法だ。
「人民網日本語版」2013年7月31日
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