1月31日の春節(旧正月)から2月14日の元宵節・バレンタインデーまでの期間、中国映画市場の興行成績は相次いで興収記録が塗り替えられるという嬉しいニュースに沸いた。春節当日の興行収入は2億5800万元(43億4472万円)に上り、国内映画市場の1日あたりの興収記録を塗り替えた。なかでも、「西遊記之大鬧天宮(The Monkey King)」は1日あたりの興収が1億元(16億8400万円)の大台を超えた初の国産映画となったほか、映画版「パパ! どこ行くの?(Dad, Where Are We Going?)」もまた興収9200万元(約15億4928万円)をあげ、2D映画の1日あたりの興収記録を創った。しかし、この記録も2月14日のバレンタインデーの日にあっという間に塗り替えられ、「北京愛情故事(Beijing Love Story)」が興収1億200万元(約17億1768万円)をあげ、1日あたりの興収新記録を樹立した。このような、今年の春節からバレンタインデーまでの映画市場を適切に表現するとしたら、「イベントシーズンの勢いに上手く乗った映画市場」だったと言える。人民日報が伝えた。
中国映画市場は現在破竹の勢いで成長している。優れた映画であればどんな映画であろうと、市場に出さえすれば、まるで水を得た魚のように活力をみなぎらせ、金脈を掘り起こす。この市場がどれだけ深いのか、水しぶきがどのぐらい高くあがるのか、その限界を知る人は誰もいない。春節初日から7日目までの期間、全国の映画興収は14億4200万元(242億8328万円)に達した。バレンタインデー当日、映画市場は興収計1億9800万元(約33億3432万円)を叩き出した。映画シーズンの多様化は、根本的に市場全体のキャパシティを拡大させた。ここから言えるのは、2014年の春節とバレンタインデーの中国映画市場はかつてないほどの成長を見せたということ、そしてこれが中国映画市場全体の成長を示しているということだ。しかも、この成長は決してキャパシティの拡大だけに限定されたものではない。
数年前、映画シーズンといえば、年末年始の正月、5月1日の労働節(メーデー)、10月1日の国慶節(建国記念日)といったようにごくわずかだった。当時は、春節に映画を見る習慣はまだ形成されておらず、春節シーズンという概念も非常にぼんやりしたものだった。当然、バレンタインデーなど言うまでもない。さらに、映画シーズンはもっと単純な時間的な区切りでしかなく、観客にとって、映画を見ることは、重要な休日だけに行う暇つぶし的な行為でしかなかった。
しかし、中国映画産業の発展に伴い、状況は大きく変わった。最も劇的な変化は2011年の「光棍節」(独身の日)に起こった。都市に住む若者の心理的なニーズにターゲットを絞った「失恋33天(Love is Not Blind)」が、今でも映画業界の「奇跡」として何度も取り上げられる映画業界の「ダークホース」となり、低予算映画にもかかわらず興収3億5000万元(約58億9400万円)を超える大ヒットになったのだ。これ以降、「光棍節」シーズンという概念が水面に浮かび上がると同時に、バレンタインデーシーズンの人気もますます高まっていったのは言うまでもない。
新しい映画シーズンの誕生は、単純に期間的な区切りという映画シーズンの概念を根本的に変えた。バレンタインデーや光棍節、エイプリルフールにいたるまで、これらのイベントは映画市場において価値を生み出し、中国の映画製作者が観客の心理的ニーズを深く分析し、またその分析に基づいて行われた映画製作がこういった利益を生み出したのだ。
これら映画シーズンに対する概念の成熟は、公開時期や観客が自動的に映画館に来てくれることを待つ、これまでの中国映画産業の「棚からぼた餅」式の受動的な発展から、自主的に市場のニーズを発掘し、消費行動を作り上げるという積極的な発展へと変化したことを本質的に示している。興収のすさまじい伸びと比較しても、このような発展形態の変化はより貴重なものといえる。これは、中国映画産業の消費者に対する意識の高まりを示すだけでなく、中国映画界の現代市場システムが徐々に整備されつつあることや、さらに中国映画産業や市場の内在的な成長を示している。
現在の勢いで発展しつづければ、将来、バレンタインデーや光棍節の映画シーズンの興行成績はすでに成熟しきった年末年始や、5月1日のメーデー、国慶節の映画シーズンの興行成績を超える可能性があるだけでなく、映画市場にさらに新たな消費行動を生む、勢いを持つ映画シーズンが現れる可能性があるという見方を示す人もいる。
中国映画市場の発展は正しい方向へと向かっている。しかし、中国の映画製作者はさらなる熱意と努力によって、引き続きより質の高い映画を製作することで、市場の絶え間ない発展を牽引し、イベントシーズンの勢いに乗って大きな興収を上げ、映画市場の持続的な人気を維持しなければならない。(編集MZ)
「人民網日本語版」より 2013年2月18日
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