このほど北京で開催されたテレビ番組交易会で、中国テレビドラマ製作産業協会の王鵬・副会長が、中国のノーベル賞作家・莫言(モーイエン)氏の代表作「紅高梁(紅いコーリャン)」のドラマ版(全50話)の製作のため、製作会社が同氏に著作権料1000万元(約1億6500万円)を支払ったことを明らかにした。そのほか、脚本を手掛けた趙冬苓(チャオ・ドンリン)氏に報酬1000万元、メガホンを執った鄭暁龍(チョン・シャオロン)監督に報酬1000万元、さらに主演の女優・周迅(ジョウ・シュン)にギャラ3000万元(約4億9500万円)が支払われたという。王副会長は「これらだけで合わせて6000万元(約9億9千万円)以上に達している」と指摘し、ドラマ業界の「バブル」状態に懸念を示した。新民晩報が報じた。
ギャラが高騰
王副会長は、「競争が熾烈なため、製作会社は必至にビッグネームを起用しており、そうしなければ安心できない状態。結果、一流の役者のギャラが高騰しているだけでなく、著名な脚本家や監督の1話当たりの報酬も20万元(約330万円)を超えるようになっている。一流の役者の1話当たりのギャラに至っては50万元(約825万円)に上り、100万元(約1650万円)を要求してくる役者さえいる。二流の役者でも30-40万元(約495-660万円)必要」と現状を語った。
ホットマネーの流入により、中国のテレビ業界は3年前から「億元時代」に突入し、製作費が1億元(約16億5千万円)を超える大作ドラマが続出。昨年は、2億元(約33億元)を超えるドラマも複数出現した。例えば「楚漢伝奇」の2億4千万元(約39億6千万円)、「隋唐演義」の2億8千万元(約46億2千万円)などだ。
ドラマ復帰する映画スターが続出
ドラマのギャラが高騰しているのを背景に、映画界のスターたちも同市場に進出している。例えば、ドラマ「火線三兄弟」(2013年)では俳優の張涵予(チャン・ハンユー)、劉燁(リウ・イエ)、黄渤(ホアン・ボー)が、「精忠岳飛」(13年)では人気俳優・黄曉明(ホアン・シャオミン)が、「咱們結婚吧」(13年)では人気女優・高圓圓(カオ・ユエンユエン)がそれぞれ主演を務めた。今年のドラマ「少女武則天」では中国を代表する女優・范氷氷(ファン・ビンビン)が主役を演じる。そして、長年ドラマから遠ざかっていた周迅も高額のギャラで「紅高梁」出演を決めたほか、売れっ子女優の趙薇(ヴィッキー・チャオ)も、今月クランクインする親子をテーマにしたドラマ「虎媽貓爸」に出演する。そのギャラは3000万元とも言われている。
映画スターのドラマ市場への復帰は、世界の流れには逆行している。その原因は、ドラマのギャラが映画よりはるかに高いことにある。映画の撮影周期は約1-2カ月で、ドラマは約3カ月。この点、両者にそれほど差はないが、ドラマのギャラは往々にして映画の4-5倍になっているのだ。
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