中国の巨匠・張芸謀(チャン・イーモウ)監督の新作「帰来(Coming Home) 」の発表会が21日、北京で行われ、張監督のほか、主演を務めた女優の鞏俐(コン・リー)や俳優の陳道明(チェン・ダオミン)、新「謀女郎」(張芸謀監督作品の主演女優)と称される張慧雯(キャンディ・チャン)、女優の閻妮(イエン・ニー)らが出席した。現在の中国の映画市場に言及した張監督は、「文化的な要素に欠け、役者のクオリティも向上が待たれる」と注文を付けた。中国新聞網が報じた。
中国の大手映画会社「楽視影業(Le Vision Pictures)」と同映画製作で合意に達して以降、張監督は、「同映画の製作は『原点復帰』を意味する。静かに、実際の状況に基づいて正しく行動したい」と、公の場で何度も強調してきた。しかし、「どのような心境の変化か?」という質問に対しては、「映画監督の仕事はたいへんで、製作中も平常心を保ちたいと、どの映画監督も感じている。落ち着いた気持ちを保ってこそ、よい映画が撮れる」と、答えるにとどまっている。
「帰来」は、鮮烈な映像美が特徴の張監督のこれまでの作品とは全く異なり、ゆったりと落ち着いてストーリーが進んでいく。また、同作品は中国で1966年から77年 まで続いた「文化大革命」をテーマにしており、現実的な意義も込められているため、同作品は利益を追求することのない「芸術映画」と称されている。
「芸術映画」と称されることに関して、張監督もまんざらでもない様子だ。なぜなら、張監督から見て、中国の映画市場には「芸術映画のジンクス」は存在しないためだ。張監督は、「同作品を多くの人に見てもらいたい。現在の中国映画は文化的な要素に欠けている。『帰来』が文化的価値の回帰になることを願っている」と指摘している。
また、張監督は、鞏俐や陳道明の演技を絶賛し、「同作品が役者の『教科書』になることを願っている」とも述べた。そして、第67回カンヌ国際映画祭で、同作品が非コンペティション部門で上映されることになったことに関して、「唯一残念なのは、鞏俐や陳道明が評価を受けることができないこと」とも述べた。
また、「現在の中国映画は、興行成績や商業性ばかりに注目し、役者のクオリティは高くない」と率直に指摘。「今の中国の多くの俳優の演技はオーバー過ぎる。中国映画は心から出るものに重きを置いており、この種の伝統は受け継いでいかなければならない。この点、陳道明と鞏俐の演技は、若い俳優がお手本とすべき」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」より 2014年4月22日
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