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レアアース資源税の増税が検討、資源保護が焦眉の急に

 

中国のレアアース輸出規制がWTOで敗訴し、一部レアアース製品の輸出関税が解除されることを受け、国はレアアース業界の調整と統合を再び強化することになる。関係者はこのほど、「関連部門はレアアース資源税の引き上げを検討しており、国内レアアース業界への調整を強化する」と明かした。経済参考報が伝えた。

上述した関係者は、「中国国家税務総局、中国工業・情報化部(省)、中国財政部(財務省)などの部・委員会が検討中で、下半期に発表される見通しだ。現状を見ると、レアアース資源税は現在の基準から大幅に引き上げられる可能性がある。具体的な比率については検討中だ」と語った。

多くの業界関係者は、レアアース資源税の増税を、レアアース業界の重要な調整手段と見ている。同関係者は、「レアアース資源税を増税し、レアアースの市場価格を引き上げることで、資源不足と開発による環境破壊を強調することができる。また価格を引き上げることで需給関係を変え、レアアースの密輸や外国の買い溜めといった現象を効果的に減らせる。同時にWTOの敗訴により、中国のレアアース管理にもたらされる負の効果をやわらげることも可能だ」と説明した。

レアアースの安値での叩き売りを防ぐため、中国はさまざまな政策措置を講じてきた。中国は2007年よりレアアース生産に強制的な計画を設定し、輸出割当を毎年減らすことで輸出を制限した。2011年より一部レアアース製品の輸出関税を引き上げ、また資源をより良く保護するために、2011年4月には初めてレアアース資源税を大幅に引き上げた。中国財政部、中国国家税務総局は2011年に初の通知を出し、同年4月1日よりレアアース資源税税額基準を統一的に調整し、10倍に引き上げた。調整後のレアアースの資源税税額基準は、軽希土類(バストネサイト、チェラライトを含む)は1トン当たり60元、中重希土類(ゼノタイム、イオン型レアアースを含む)は1トン当たり30元となった。

レアアース業界の関係者は、「資源税が再び大幅に引き上げられれば、企業のコストがさらに拡大することになる。大幅な増税は、政府が措置を講じレアアース資源を厳しく管理していることを意味するが、この状況の中、レアアース価格が上昇する可能性がある」と分析した。

統計データによると、2013年第4四半期も価格が低下したことから、レアアース価格は2013年中頃の低水準に迫っている。レアアースの主産地である包頭市には、一定規模以上レアアース企業が34社あるが、1-3月の稼働率は91.2%で、売上は前年同期比25.3%減の18億1000万元(1元は約16.3円)、利益額は4.7%減の2億1000万元となった。輸出状況を見ると、レアアース業界の輸出額は47.2%減の3100万元となった。開発権を持つレアアース大型グループ(包鋼稀土、厦門タングステン、五鉱稀土、広晟有色金属、中国アルミ、カン州稀土など)が、優先的に利益を受けることになる。

世界経済が低迷を続け、中国のレアアースに対する需要が減少していることから、レアアース価格が暴落しており、海外が新たにレアアース鉱を稼働させる上での圧力が弱まっている。海外メディアの報道によると、米ゼネラル・モリー社はカリフォルニア州の旧鉱山を再稼働させ、マレーシアは1年前よりオーストラリアからのレアアース調達の準備を始めている。地質学者も近年世界で数百の新たな鉱床を発見したが、中国以外で新たにレアアース鉱を開発する意欲は大幅に低下している。

これらの状況から、増税によるレアアース不足の強調が、焦眉の急となっている。欧州経済研究センターは、「中国は2020年まで、重希土類の独占的な地位を維持する」と予想した。現在、世界の90%のレアアース製品は、中国産となっている。業界のアナリストは、「海外の中国産レアアースの需要が復活する可能性がある。特に関税撤廃後は、国内の監督管理により貴重なレアアース資源を保護するしかない」と指摘した。統計データによると、中国のレアアース埋蔵量は残すところ2700万トンのみとなっており、世界全体の埋蔵量に占める比率はかつての70%超から30%まで低下している。現在の生産ペースを維持した場合、中国の中・重希土類は15-20年で掘り尽くされ、その後は輸入が必要になる可能性が高い。

 

「人民網日本語版」2014年5月21日

 

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