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中国、アジア太平洋自由貿易圏の実現に注力

 

青島で18日に閉幕した2014年アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合において、21のAPEC加盟国・地域の貿易担当相は、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けた取り組みを今年から開始し、ルートマップを年内に策定することで合意に達した。人民日報海外版が伝えた。

▽「スパゲティ・ボウル現象」を解消

会合において、各国代表は口々に「スパゲティ・ボウル現象」に言及した。これは各協定で異なる優遇措置や原産地規則がボウルの中のスパゲティのように交錯し、「切っても切れず、整理してもなお乱れている」状況を指す。

中国商務部(省)の王受文・部長補佐は、中国がFTAAPの実現に力を入れる理由について、次のように語った。

「FTAが増えすぎるとスパゲティ・ボウル現象が生まれる。例えば、A国が5つの国とFTAを結んでいたとする。しかし各FTAで原産地規則条項が異なり、A国で生産された同じ商品でも、ある国ではゼロ関税が適用されるが、別の国では適用されない、という場合が起こる。優遇措置を得るための証明書も各国で異なる可能性がある。地域内の大規模なFTAを実現する上で、例えばAPEC加盟国企業の輸出時などにおけるスパゲティ・ボウル現象を解消しなければならない」。

商務部国際貿易経済協力研究院の霍建国院長は、「中国はこれまでずっとグローバルな多角的貿易体制を支持してきた。地域の自由貿易協定は、貿易の利便化に役立つ一方で、排他的・対抗的な枠組みにもなりやすい。中国が提唱するFTAAPは、アジア太平洋において自由貿易の大規模なプラットフォームを構築し、グローバルな多角的貿易体制に立ち返ることを目指すものだ」と指摘した。

▽既存の自由貿易協定に対抗するものではない

霍院長は、「今回、APECの加盟国全てがFTAAPの推進に合意したことは大変得難いこと。このような成果が得られ、非常に奮い立たせられた」と述べた。

アジア太平洋は経済総量が世界の57%を占め、貿易額が世界の46%を占める重要な経済地域であり、その経済貿易発展は世界においても重要な影響力を持っている。

2006年に行われたAPEC首脳会議で、FTAAPという構想が初めて正式に打ち出され、APECはアジア太平洋地域の貿易・投資の自由化に向け、より効果的な手段を検討すべきとの見方が示された。しかし、その実現に向けた道筋が明確化されたのはそれから4年が経ってからのことで、ASEAN+3、ASEAN+6、TPP協定といった地域的な取組を基礎として更に発展させることが確認された。

18日のAPEC貿易担当相会合で、中国商務部国際経済貿易関係司の孫元江副司長は「中国は、FTAAPのフィージビリティスタディを行うことを提言する。これは、当該地域の既存のいかなる自由貿易協定にも対抗するものではない」と明確に表明した。

王部長補佐は「FTAAPの実現に向け、まずしなければならないのはフィージビリティスタディ。既存の自由貿易協定を基礎とし、統一的にAPECをカバーする自由貿易協定が実現できるかどうかを検討すべき」との見方を示す。

▽中国はもっと積極的に役割を果たすべき

FTAAPの実現はウィン・ウィンの戦略と言える。霍院長はFTAAP実現における中国の役割について、次のように述べた。

FTAAPは、中国に欠けていた「スマイルカーブの両端」をもたらすことになる。中国は現在、製造の部分に留まっており、バリューチェーンにおける付加価値は比較的低い。FTAAPの実現を推し進めることは、産業チェーンの川上と川下をつなげ、中国の産業の影響力を拡大することにつながる。バリューチェーンにおいてより良い位置を占めることができ、中国の国内産業のモデルチェンジとアップグレードが推進される。

APEC加盟国は発展段階がまちまちで、政治・経済条件も異なる。このため、FTAAPの実現においては先進国と発展途上国の異なる要求に配慮し、意思疎通・協調を十分に行う必要がある。中国はこの面でもっと積極的な役割を果たすことができる。

例えば、貨物貿易のゼロ関税について、TPPは関税撤廃を約束する品目の割合(自由化率)を95%まで上げる方針で、これはかなり高い割合だ。しかし中国は開放の程度をやや下げ、90%と主張することができる。また、サービス貿易、投資協定、規制・制度、中立的な競争政策、企業の社会的責任などの面でも、中国はFTAAPを推進する国として、より積極的な役割を果たすことができる。

 

「人民網日本語版」2014年5月19日

 

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