「中国も移民によるベネフィットをより多く享受すべきではないか」。中国社会科学院学術報告ホールで19日午前、移民問題に注目しているシンクタンクの研究員、大学の学者、移民諮問機関の責任者など20人弱の専門家は、中国人の移民問題について突っ込んだ交流を行った。また会場では、中国と北京に本拠を置くシンクタンク「中国グローバル化研究センター」(CCG)がともに編集し、社会科学文献出版社が出版した『中国国際移民報告(2015)』青書の発表会も行われた。同青書は2012年から刊行され始めたものである。
中国の出国者が世界最大規模になったことが青書で明らかにされた。推算の結果によると、2014年、中国の海外旅行者数は延べ1億1500万人に達し、海外での観光消費額は1550億ドルに上った。これに伴い、中国の観光サービス貿易の黒字も伸び、1000億ドル超になる。これは、中国が世界最大の観光サービスの貿易黒字国になることを意味する。
2014年11月に北京で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)会議非公式首脳会議の会期中、中米両国は相手国の国民に対し最長有効期間10年に達するビジネスビザと観光ビザを発給することで合意した。CCGのアナリストは、「米国が中国国民に有効期間10年のビザを発給することは、彼らに10年の『グリーンカード』を発給することと同じであり、中米間の往復がわりと便利になると見られる。それと比較すると、米国移民になる魅力は低下していくだろう。これにより、中国の人材や資金が米国に流れるという悪影響もある程度減少するに違いない。ここ数年、米国の永住権を取得した中国大陸部の人数は逓減し続けており、2011年は8万7016人、2012年は8万1784人、2013年は7万1798人というペースで減少してきた」と指摘した。
いかにして移民によるベネフィットを中国にも受けさせるかということは、中国のシンクタンクや学者たちが最も注目を集める話題である。青書の中のデータが示したように、2013年、中国に駐在する外国人は合わせて84万8500人で、中国総人口に占める割合はわずか0.06%、ほぼ世界の最低水準に止まっている。先進国や地域、ひいてはロシアなどの国々ではこの割合が10%を超えている。2013年、1402人の外国人が公安部の許可を得て中国の「グリーンカード」を取得した。中国は「グリーンカード」制度を実施し始めた2004年から2013年まで、計7356人にグリーンカードを発給している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」より 2015年3月20日 |