5月1日から、一連の新しい法律・法規が施行される。国民の「懐具合」といえる預金の安全保障をはじめ、行政訴訟の立件登記制度の全面実施、文化的観光の規範化、職業上の健康検査の実施などで、新法律・新法規が施行されると、人々の生活にさまざまな変化が現れることが予想される。専門家は、「関連の法律・法規が施行されれば、社会主義の法律体系がより整備され、国民の合法的な権利が保障され、経済社会の発展に活力を与えることは間違いない」との見方を示す。経済日報が伝えた。
▽預金:50万元まで保障
金利の市場化改革の過程で、銀行業の競争が激しくなっており、特に民間資本が商業銀行の設立に参与することを認めて以来、預金者を効果的に保護し、銀行のリスクに対し速やかな対処をすることがより一層求められるようになった。「預金保険条例」の意義もまさしくここにある。
預金保険制度は立法という形で国民の預金の安全に明確な法的保障を与えるものだ。これは「預金は安全性が保障されている」という安定的な見方を形成する上でプラスになる。同条例の規定によると、預金保険は限度額内で保障を与えるもので、最高で50万元(約965万円)まで保障される。預金者の99%以上が預金保険基金管理機構の「全額保障」の対象になる。
また預金者は預金保険基金管理機構に対し保険の対象となった預金の返還を求める権利を有する。同条例はこれについて具体的なケースを明確にしており、同機構が預金を預かる金融機関(投保機関)の接収管理機関を担当し、取り消された投保機関の清算を実施し、人民法院が投保機関の破産申請を受理することなどを記す。同機構はこうした状況が発生した日から7営業日以内に預金を全額保障しなければならないとしている。
▽司法:「民が官を訴える」ハードルが低下
「行政訴訟法」は「民が官を訴える」ことを規範化した法律とみなされている。改訂後の行政訴訟法は、行政訴訟は立件が難しく、審理が難しく、執行が難しいという顕著な問題に向き合い、さまざまな新制度と新規定を設けて、「信訪(陳情)を重視して法律を重視しない」という現象を改め、「民が官を訴える」ことのハードルを下げている。
法律の規定によると、裁判所は個人、法人、その他の機関の訴訟を提起する権利を保障しなければならない。立件審査制度を立件登記制度に改め、裁判所は提出された訴訟の資料は必ず受け取らなければならず、さらに起訴の条件を満たした案件は必ず受理しなければならない。行政機関とその職員は裁判所が行政訴訟案件を受理することに干渉したり、これを阻止したりしてはならない。
改訂後の行政訴訟法は行政訴訟の審理の対象をこれまでの「具体的な行政行為」から「行政行為」へと統一的に改め、さらに訴訟が可能な行政行為を全面的に列挙し、行政訴訟の受理案件の範囲を大幅に拡大した。
「民が官を訴える」行政訴訟にみられる「官を訴えても当人が出てこない」という現象について、改訂後の行政訴訟法では、起訴された政府機関の責任者は出廷して裁判に応じなければならないと規定する。出廷できない場合は、行政機関の適切な者に委託して代理人として出廷させなければならないとしている。
最高裁判所はこのほど「最高裁判所の『中華人民共和国行政訴訟法』適用の若干の問題に関する解釈」を発表し、改訂後の行政訴訟法における新制度、新規定を具体的に細分化し、同法とともに実施した。
注目されるのは、5月1日から全国の裁判所が立件登記制度を全面的に実施することだ。現在、全国の各レベル裁判所は鳴り物入りで準備を進めており、5月4日に「立件登記初日」を迎える見込みだ。
▽観光:ガイドに報告の権利
観光客の文化的な観光を誘導するためには、ガイド、添乗員、旅行社が突破口になる。「ガイド・添乗員の文化的観光の誘導の規範」はガイド・添乗員の業務基準を確立したもので、ガイド・添乗員に「報告する」権利を与えている。具体的に言えば、ガイド・添乗員は所属する旅行社を通じて、社会的道徳に大きく背き、法律・規範に違反し、悪辣な影響や深刻な結果を招く観光客を観光主管部門に報告する権利を有する。観光主管部門の確認を経た後、ガイド・添乗員は当該の観光客を「観光客の非文化的行為の記録」に書き加えることができる。
同規範は、ガイド・添乗員の観光活動におけるすべての場面を網羅しており、法律法規、習慣的な禁忌事項、グリーン・環境保護、礼儀・規範などを含む総合的な要求に対してはもとより、食事・宿泊・移動・観光・買い物・娯楽などの各段階について、具体的で厳格な規範を設けている。また突発的な緊急事態に対する具体的な対処についても、相応の要求をうち出している。
「旅行社の旅行実施前の説明サービスの規範」は、国家観光局が旅行社のサービスの全過程のうちの一場面について初めてうち出した特定の業界サービス基準であり、旅行社が旅行実施前に行う説明サービスについての基本的な要求を明確にしており、これには主体的にサービスを提供すること、実効性を重視すること、資源の保障などが含まれる。サービスの形式には、一般的サービス、緊急措置、救済手段などがあり、サービスの内容には、資料の引き渡し、物品の提供、内容の告知などが含まれる。
▽職業病:職業上の健康検査を重視
国家衛生・計画出産委員会がこのほど発表した「職業上の健康検査の管理規定」では、職業病のリスクを負った業務に従事する労働者は、業務を担当する前、担当期間中、担当終了時に健康検査を受けなければならず、検査費用は雇用機関が負担するとしている。まだ同規定は、職業上の健康検査の文書システムを構築し、雇用機関は検査結果を書面で労働者に通知しなければならないとしている。
職業上の健康検査は一般の健康診断とは異なり、企業や事業機関、個人経営の経済機関といった雇用機関が、職業病のリスクを負った業務に従事する労働者に対して行う健康の検査であり、労働者をふるいにかけて職業病や職業病の疑い例、職業病の禁忌があるケースを発見することが狙いだ。
また職業上の健康検査は「1回調べれば終わり」というものではない。同規定に基づき、検査機関は職業病が疑われるケースについては、速やかに書面で当人と雇用機関に通知すると同時に、所在地の衛生・計画出産行政部門および安全な生産の監督管理部門に報告しなければならない。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年5月1日
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