「紫禁城の別園」と呼ばれる北京故宮の北院が2013年にスタートした「宮廷庭園」工事を終えた後、どんな建物になるのかに対して社会的な注目が集まっていた。そんな中、故宮の北院の5つの建築設計候補案が29日、より多くの市民の意見を聞くために一般公開された。故宮博物院の単霽翔院長は、「北院の建築設計において最優先で考慮したのは機能性だ。完成した後、北院は文化財の修復や展示、分流の機能を担うことになる。最終案は業界内の専門家や故宮全体の職員、および一般の人々の意見を総合的に考慮して、なるべく近日中に決定し、年内にも工事を開始するつもりだ」と語った。
「平安故宮」プロジェクト工事の重要なパートとなる北院は、故宮ゆかりの海淀区西玉河基地の周辺にあり、完成後には博物館公園となる。古典的な庭園には故宮から花や植物などが移植され、紫禁城とは異なるリラックスした感覚をもたらすことになる。また、八達嶺の長城、十三陵、頤和園などの世界文化遺産からなる重要な文化観光ルートと共に、人々の文化生活をより豊かにするだろう。
故宮北院の5つの建築設計案
■候補案1
水面にかけられた3つの弓形の金水橋と入り口の広場を通って方城や赤い壁を利用した建物に入る。巨大な展示場は、廊下や庭園部分に分かれており、その中で見学する来場者はまるで故宮を散策しているような気分を味わる。また、文化財は皇室の生活シーンに溶け込むように陳列される。全体の建物は東と西の2つの方城からなり、3つの展示室に分かれており、その間を1本の赤い壁に囲まれた歩道によってつながる。来場者が屋上の空間に上ると、遠くにそびえる山や畑、夕日、雲などが一望に眺められ、まるで故宮の楼閣に登ったかのように感じる。遠くには金色に輝く瑠璃瓦の壮観な景色が見える。
■候補案2
建物の外観は、紫禁城と同様な金色と赤色が使用される。メインの建物は中国の古典建築に見られる屋根、屋身、基壇の3つの部分からなる「三段式」の構造を採用している。金色の屋根の建物の下には、屋身である赤い壁に囲まれた展示空間が広がっている。全体の建物の南側は池に面し、北側は山に連なっている。金色の屋根の建物は一つの軸線を形成する。軸線は、故宮の中軸線の太和門や三大殿までの尺度から取り出したもので、完全に土台の境界に沿っている。建築全体の中心としての役割を果たし、主要展示場の基本的な陳列も中軸上に置かれる。
■候補案3
3棟の建築物は金色の屋根と赤い壁を使用し、建物全体は1本のガラスの通路で囲まれている。廊下は公共サービスとして使用され、内側と2つの展示場はつながっている。絶景の景観と心地いい室内環境を備えており、さまざまな特別展覧会や文化イベントを開催することができる。観光客は展示を見学し終わった後、廊下を通って上階の城壁公園へ上がり、新しくなった北院の全貌を俯瞰したり、西山や北京市内を眺めたりすることができる。常設展示室のほか、建物内には天井の高い展示室も設けられ、最大の展示室は高さ20メートル、2000平方メートルにも及ぶ。同時に、IMAX(アイマックス)デジタルシアターやマルチメディア展示室も設けられる。
■候補案4
故宮博物院の伝統的な建築と中庭の構造をベースとして、「回」字型の建造物が水面に沿って広がる。建築内部には何重もの奥行きのある開放式の中庭と建物の空間が広がり、各機能のユニットが有機的につながり、紫禁城の三大殿の空間イメージを体現していると同時に、もともとあった文化財修復倉庫と機能的な整合を図っている。建物の1階部分は高架になっており、建物とランドスケープとの立体的なオーバーラップとともに、地面の拘束からの解放も実現させている。来場者により多くの屋外の活動空間を提供しており、剛柔兼備で、建物・景色共に優れた最高の空間を作り出している。
■候補案5
主体となる建物は平屋の別荘を組み合わせた設計コンセプトが採用されている。大地に延びた「城」はまるで3D絵巻物をゆっくりと広げて見せたようだ。「城」は上下に分かれており、「上城」は、北から南に向けて天地の間にまっすぐと建っており、北側には巨大な空間の特別展示室が置かれ、南側には独立した事務スペースからなる区域に分かれる。「下城」は、東から西むけて大地に沿って延びており、中央には観光客へのサービスを行うホールやデジタル故宮があり、東には独立して運営される特別展示室が置かれる。西側には常設展示室や文化財の修復研究センターが設置される。
故宮博物院の単院長は、「故宮の北院の設計は、故宮の文化を深く理解している中国人建築家に主導的に行ってもらいたいと思っている」と語った。故宮は、今回のコンペ案に、50~60歳の、経験豊富で、創作意欲に溢れ、実力が際立っている中国人建築家を選出した。候補に選ばれた建築家は、崔愷氏、張宇氏、庄惟敏、梅洪元、孟建民の5人。
投票の仕方
1. 新浪微博(ウェイボー・ミニブログ)の公式アカウント、人民微博の「故宮博物院」公式アカウント、騰訊微博の「故宮」公式アカウント
2.公式サイト http://www.dpm.org.cn
3.会場で投票 場所:故宮頤和門迆南展庁
(編集MZ)
「人民網日本語版」2015年5月4日
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