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爆発的ブームとなった「医療観光」

 

日本に赴き最先端の医療サービスを受ける中国人が、ここ数年激増している。これにより、日本の医療通訳者不足という問題もますます顕著化してきた。このような状況のもと、海外に住む中国人は、絶好の就業チャンスを掴めるかもしれない。人民日報海外版が日本メディアの報道を引用して伝えた。

〇爆発的ブームが起こった医療観光

海外旅行の折に家電製品を買って帰ることは、もはや当たり前となった。いまや、海外で健康診断を受ける、さらには美容整形手術を受けることが流行る時代となった。

韓国の統計データによると、医療観光で韓国を訪れる外国人は、過去6年間で100万人に達した。このうち2013年は21万1千人あまりで、中国人観光客は26.5%を占めた。中国は医療観光で訪韓する外国人の主な客源国となり、その数は2009年の10倍以上に増えた。

〇中国人に人気の海外医療観光、「高い医療技術レベル」が主な理由

韓国の美容整形手術を例に挙げると、韓国の人気芸能スターの顔つきやスタイルは、韓国式美容整形技術の高さをアピールする最高の「広告塔」となっている。韓国保健福利部の統計データによると、美容整形手術を受ける海外からの観光客のうち、ほぼ10人に7人が中国人だ。

日本、精度の高いがん検診で名を馳せている。日本政策投資銀行(DBJ)の報告によると、健康診断を目的として日本を訪れる中国人観光客の数は、2020年までに、年間延べ31万人を上回る見通し。

〇言葉の壁によって「医療通訳」という職業が誕生

医療観光が盛んになり始めると同時に、さまざまな問題も起こってきた。このうち最も大きいのは、「言葉が通じない」という問題だ。

最初に問題となるのは、外国の医療規則に対する無知・無理解だ。医師の臨床診断基準や投薬のルールも、国によってまちまちである。診療予約が必要か否か、診療代金に関する交渉は可能か否か、術後の回復期のケアなど、込み入った詳細事項は、短期滞在の観光客にとって、全てが面倒で煩わしい。

米国を訪れて診療を受けた経験がある邵さんは、「血液検査を受けなければならない場合、週1回しか検査日を設けていない病院もあり、事前予約が必要だ。また、薬も、処方箋がないと購入できない。現地の医療事情に精通した人がサポートしてくれない限り、これらの面倒事は避けられない」と述べた。

より深刻な問題は、仲介機関の通訳が患者の症状を医師に正しく伝えられないことだ。彼らの言語能力自体は十分高いかもしれないが、海外事情や医療知識に乏しい場合、このような意思疎通における誤解が生じる恐れは大いにあり得る。

韓国美容整形手術の通訳業に携わる金さんは、「朝鮮族の多くが仕事で韓国にやってきている。私のほかにも、医療通訳をしている友人がいるので、情報入手という点では大変恵まれている」と話した。美容整形医院に勤める金さんの友人が、中国からの観光客を彼女に紹介してくれたことがきっかけで、医療通訳の仕事を始めたという。「医療分野には、非常に多くの専門用語があり、中国語に訳すのはかなり難しい。また、中国人観光客は時に、求める術後効果や客自身の状況について、曖昧な言い方をすることがある。あるいは、術後に『予想とは違っている』と言い出すこともあり、顧客とのコミュニケーションはますます難しくなる。韓国人の通訳は、そこまできめ細かい仕事ができないため、中国人の通訳が優勢を占めている」と金さんは続けた。

〇医療通訳が花形職業に

日本や韓国の一部の大病院は、中国語通訳を配置しているが、ほとんどの海外の病院には置かれていない。

増加の一途をたどる医療観光客に対応するだけの医療通訳人材をまかなう目的で、日本は2014年以降、医療通訳育成事業を大々的に推し進めている。日本医療通訳協会を設立しただけではなく、医療通訳資格試験制度を立ち上げた。2年制の国際医療通訳学院がこのほど東京で、第5回中国語・日本語特別講座を開いたが、受講者は在日中国人が中心だった。東京外国語大学などの大学も、中国語・日本語などの医療通訳翻訳課程を新たに設けている。

医療観光が普及するにつれて、通訳養成機関の規範化が必要となるだけではなく、仲介機関が正規のものか否かについても、吟味することが求められる。金さんは、「中国人観光客が医療観光を希望した場合、旅行代理店に連絡を取り、その旅行代理店が海外の病院とコンタクトを取る、という流れが現行モデルだ。質の高い海外医療資源を享受するためには、旅行代理店と医療通訳から提供される、医療素質に関する文書や契約書を、注意深くチェックしなければならない」と指摘した。

今では、中国人医療通訳が携わる業務は、ビザ申請、空港送迎、宿泊手配、術後のケアなどにも及び、一貫したサービスを提供することが求められている。金さんは、「顧客の希望に応じてサービスを提供している。個人の現地ツアーガイドという形で、仲介機関は通していない。今、中国人の考え方は、だんだんと開放されており、美や健康を積極的に追求するようになった。今後も顧客は間違いなく増え続け、医療通訳者も増加の一途をたどるだろう」との見方を示した。(編集KM)

「人民網日本語版」2015年5月27日

 

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