26日午前8時40分ごろ、中国の999医療専用ヘリコプターが、北京の解放軍307病院内にある駐車場に着陸。待ち構えていた病院のスタッフらがストレッチャーで、河北省から来た患者をICUに担ぎ込み、検査や治療を実施した。同ヘリは、患者の家の庭から飛び立ち、同病院まで約50分間飛行した。患者の自宅と病院をヘリで結ぶ試みは中国で今回が初めて。患者の輸送に必要な時間の大幅な短縮が期待されている。北京青年報が報じた。
北京、天津、河北省にヘリポート89カ所
999急救センターの田振彪・副院長によると、北京、天津、河北省に、ヘリポート89カ所を設置した。ヘリは小さいため、駐機や離着陸が便利だ。999急救ヘリも、1辺25メートルの正方形の平地があれば離着陸できる。つまり、バスケットコートほどの大きさの敷地があれば良いことになる。地面は一定の硬度が求められるほか、ヘリのプロペラが接触する恐れのある物体が敷地内にあってはならない。
今後も、医療専用ヘリの離着陸のために、学校の運動場や駐車場、ゴルフ場、病院やビルの屋上などに、臨時ヘリポートを設置する計画だ。これまでに、307病院の駐車場以外に、光彩テニス場や安貞病院付近の北土城東路の路口などが臨時ヘリポートとなり、医療専用ヘリが着陸したことがある。
救助要請から離陸まで数時間必要
医療専用ヘリを利用したい患者の家族は専用電話010-999に連絡することができる。要請を受けた999空中救援弁公室や応急弁公室は、現地や北京のヘリポート、病院とすぐに連絡を取るほか、関連の部門に連絡して飛行ルートを確定する。また、医療スタッフは患者の病状を総合的に評価し、ヘリ輸送が必要かを判断する。
患者の救助要請からヘリの飛行までには通常、数時間必要。午前中に電話をした場合、患者の病状がヘリ輸送に適合し、気候条件にも問題がないことを前提に、正午にヘリが離陸できる。そして、当日午後に目的の病院に運ばれる。午後に電話した場合、安全を考慮し、通常翌日早朝に離陸し、順調に行けば正午に北京に到着する。
医療ヘリ利用にはどのくらいの費用が必要?
999急救センターは、必要な具体的な費用については明らかにしていない。中国人寿などの保険会社は現在、同ヘリを利用するための保険を用意しおり、値段は299元(約5700円)から。同ヘリ利用後、一定の割合で保険金がおりる。
その他、全ての患者が同ヘリを利用できるわけではない。同ヘリ利用対象となるのは主に、けが人や急性疾患の患者、さらに患者がいる地域の医療機構では、必要な治療が受けられない場合、患者がさらに適合した医療機構に移動し治療を受ける必要がある場合などだ。例えば、骨折し、切断、再接着が必要な場合、最も深刻な3度の火傷の面積が30%を超えている場合、頭や脳に深刻な損傷を負い、意識不明となっている場合、脾臓や肝臓などの内臓が破裂し、出血している場合、気胸で呼吸不全やショック状態になっている場合、急性心筋梗塞、ぜんそくの発作など。
「人民網日本語版」2015年5月27日
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