中国で最も重要な入学試験である中国大学統一入学試験(高考)は、「一生を左右する」、「綱渡り」などと呼ばれている。今年の大学入試が終わり約1カ月が経ったものの、受験生約950万人が社会にもたらす経済効果はこれからがピーク。旅行や自動車学校、飲食、プチ整形などの業界が、「大学入試特需」で盛り上がる。中国新聞網が報じた。
7日、四川省成都市のある旅行社の社員・徐喆さんは、店外の広告の右上のキャラクターを消し、赤ペンで「大学入試の受験票を持っている人は1割引き」と書きながら、「高校卒業者に照準を絞り、米国の名門大学を訪問したり、米国の大学生と交流したりするツアーを宣伝している」と話した。
徐さんによると、高校卒業者には「リラックス」、「視野を広げる」などをテーマにした旅行を用意している。同日午前だけで10数グループの高校卒業者が同社を訪れたものの、本当のピークを迎えるのは今後卒業者が入学許可書を受け取ってからという。
旅行社のほか、中国の各大手旅行サイトも、その照準を高校卒業者に合わせて、大学入試の受験票があれば旅行商品の共同購入に参加できるようにしている。あるポータルサイトが発表した「准大学生の旅行分析報告(2014-2015)」によると、旅行に出かける准大学生が急増しており、14年は前年比185%増、今年は6月18日の時点で前年同期比428%増となっている。
例年、大学入試が終わると、百貨店なども「大学入試特需」に沸き、商機を逃すまいとデジタル機器や学生用のカバンなどを特別価格で販売する。また、自動車学校も、高校卒業者がすぐに入学できる体制を整える。
今年は、教師に感謝を示すために盛大なパーティを行うという人は少ないものの、飲食業界もやはり「大学入試特需」の主役だ。あるレストランの責任者は、取材に対して、「子供が良い大学に合格さえすれば、保護者にとっていくら食事代がかかっても問題にならない。春節(旧正月)と大学入試終了後、飲食業界は繁忙期となる」と話した。
時代が変わり、大学入試後にプチ整形を行う卒業生も増加している。成都市内のある整形クリニックの待合室で、王さんは「大学入試前に、息子が韓国に行ってプチ整形を受けることに同意していた。でも、中東呼吸器症候群(MERS)の感染が拡大し、中国国内で鼻を高くする手術を受けることにした。息子が専攻したのはホテル科。息子の将来を考えての整形」と話した。
今年の卒業生と別れを告げ、ここ3年で最も気楽な時間を過ごしているという四川棠湖外国語学校の教師・袁栄蔓さんは、「試験終了後、ホッとしてほしい物を買ったりするのは理解できる。でも、盲目的になってはならず、理性的でなければならない」と話す。教壇に立って10年以上という袁さんはSNS上でも、「子供の素行や生活能力を養うという観点から、試験後にどんな物を買うかを決め、子供が大学に入ってから独り立ちできるようにしなければならない」と注意を呼び掛けている。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年7月9日
|