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人民元は年内にSDR採用か レートの安定が後押し

 

中国外国為替取引センターが明らかにしたところによると、人民元の対米ドルレート基準値が5日には1ドル=6.1186元となり、前営業日に比べ9ベーシスポイントの小幅低下となった。元の対ドルレート基準値は6月から6.11元台で小幅の変動を続けている。「証券日報」が伝えた。

中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は取材に答える中で、「人民元の対米ドルレート基準値は2005年に中国人民銀行(中央銀行)が人民元レート形成メカニズムの改革を決定して以来、全体として安定した強い勢いを示し、10年間で名目実効為替レートの累計上昇幅は40%を超えた。つまり、人民元は多くの通貨に比べて安定性が高いということだ。このことは人民元の使用率を引き上げる上でプラスになる」と述べた。

趙副院長は、「中国は世界一の貿易大国だ。そこで国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の通貨バスケットの採用基準の一つに完全に合致している。当該の通貨の発行国が過去5年間に貨物・サービスの輸出額でトップクラスであることという基準だ。IMFが定める2番目の基準、すなわち当該の通貨が『自由に使用できること』という基準には定められた基準がないため、今はIMFの最終的な評価を待っている。だが人民元レートの安定が後押しすることは明らかだ」と話す。

中国銀行国際金融研究所の宗良副所長は、「レートの安定は人民元がSDRに採用されるのを後押しする。安定した通貨はIMFの評価に対し積極的な役割を果たすことになる」と話す。

注意すべき点は、5月中旬以来、大口商品の価格が大幅に値下がりしたため、新興市場の通貨がグローバル金融危機以来で最大の下げ幅を記録したことだ。また米連邦準備制度理事会(FRB)がまもなく金利を引き上げるとの観測が、状況をさらに悪くしており、このような観測の影響で米ドルが変動しながら上昇し、新興市場の通貨の価値にさらなる打撃を与えている。人民元は米ドルの動きをにらんで変動し、基準値の安定性を保つからだ。

統計によると、最近は最も広く使用される新興市場の通貨24種類のうち、20種類が値下がりしている。ロシアのルーブル、チリのペソ、ブラジルのレアルは5月中旬以降の下げ幅が10%を超えた。

だが人民元の対米ドルスポットレートは先週は引き続き小幅に動きながら横ばいで落ち着き、基準値も基本的に前週の水準を維持し、人民元レート基準値は累計4ベーシスポイント上昇して6.1172元になった。前週は累計23ベーシスポイントの低下だった。

趙副院長は、「実際には、人民元レートは改革が行われて以来、相対的に堅調で、東南アジアの危機への対応でも、2008年に発生した金融危機への対応でも、人民元レートの安定を受けて、他の通貨はより早く危機から抜け出すことができた」と話す。

消息筋によると、「IMFが人民元のSDR採用を先送りするよう提言した」ことについて、IMFの関係者は、「この情報は誤解だ。SDR通貨バスケット調整の発効期限が2016年9月30日に先送りされたことと、人民元をSDR通貨バスケットに採用するかどうかの決定は別のことであり、混同してはならない。IMF理事会は現在、15年の遅い時期に人民元を採用するかどうか決定する計画だ」と話しているという。

UBSグループの汪濤中国チーフエコノミストは、「実際のところ、IMFの今回の報告によりSDR採用の可能性が高まったとみられる。そうでなければ技術的な細部を議論する必要はない。人民元は年内に原則としてSDRに加わることを認められるが、技術的な原因により実際にバスケット入りして計上されるのは来年になることが予想される」と話す。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2015年8月6日

 

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