東京の池袋にあるブランド製品販売店で働く西尾さんは、「日本には銀聯カードが使える店が38万店ある」と話す。5年前には日本の小売業界で銀聯カードを知っている人はほとんどいなかったが、今では相当の規模のデパートやブランド店で銀聯カードが使えなかったとしたら、そこの経営者に問題があるという。池袋だけではない。銀座に行けば、どの店も銀聯カードのマークを他のクレジットカードのマークより大々的に取り上げ、一番目立つ場所に貼っている。日本人消費者が使おうと使うまいと、銀聯マークを目にすることから、銀聯ブランドがもはや少数派ではないことがうかがえる。銀聯は今や日本で最も知名度のある中国ブランドだ。(文:陳言・日本問題専門家)
中国留学を終えて帰国し、日本で働く山中さんは、中国にいた時に銀聯カードを作った。「日本の銀行でデビットカードを作ろうと思うとさまざまな手続きが必要だ。たとえば(外国人の場合は)日本に1年以上滞在できる査証(ビザ)を持っていなければならない。一時的に日本を訪れる観光客は、銀行で日本のデビットカードを申し込むことができない。中国に短期留学した際、外国人が中国のデビットカード手続きをするのは大変面倒なことで、中国の銀行に自分の口座を作ることはできないと思っていた。パスポートを持って銀行に行き、一定の金額を預ければ、すぐにデビットカードを作れるとは思いもしなかった」という。
カードの手続きが簡単で、先に現金を預けてから消費するため、中国を訪れる日本人のほとんどはデビットカードを申し込む。山中さんは、「町中の店はどこも銀聯カードを持っている人に割り引きサービスを提供しているので、自分もぜひ銀聯カードで買い物してみたくなった」と話す。
銀聯カードの最も主要なターゲットが中国人消費者であることは言うまでもない。日本のあちこちで見かける中国人観光客は、銀聯カードを使って大量に多額の買い物をするので、店側にとって最も重要な顧客になっている。
便利で利用者が多い、これが銀聯カードの主な特徴であり、中国ブランドの誕生・発展の主な特徴でもある。欧米や日本にはたくさんのブランドがあるが、主に富裕層が消費し、値段が高くてなかなか手が出ないことが特徴だ。時流に乗ったファッションブランドというのもあるが、時間の流れと共に起伏の多い道をたどるのが常だ。中国のブランドは富裕層のためのものではなく、一般大衆に受け入れられるところに特徴がある。
西尾さんは、「中国人観光客はうちの店の一番のお得意さま」と話す。山中さんは、「銀聯カードがあれば、中国人消費者は日本での買い物が便利になり、割引価格で買い物できるようになる」と話す。
今年1〜6月、中国人消費者の日本での銀聯カード利用額は3600億円に達した。14年は2800億元だった。この勢いで発展し続ければ、今年の利用額は少なくとも14年の3倍になる。消費が縮小を続ける日本では、顧客が減らなければ御の字で、倍増など見込めるはずもない。店側が中国人消費者と彼らが使用する銀聯カードに注意を向けるようになるのも当然の成り行きだ。
銀聯カードは便利で利用者が多いという特徴を引っ提げ、大きな足取りで日本市場にやって来た。中国ブランドのこうした親しみやすさは、より多くの世界の消費者に受け入れられるとみられる。日本にはさまざまな種類のデビットカードやクレジットカードがあるが、利用するとショートメッセージで知らせるサービスを提供するところは少ない。銀聯カードの各種サービスコンテンツはすでに日本のデビットカードを追い越しており、こうした各種の強みにより、多くの日本人消費者と日本の店舗が、銀聯カードを使いたい、受け入れたいという気持ちをますます募らせている。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年8月19日
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