言い換えれば、このようなレート改革が人民元切り下げを招いたということだが、これは市場の内在的な需要に合致することでもある。そこでIMFのエスワー・プラサド元中国部門チーフの、「中国人民銀行は今回の措置を細心に計画し、人民元を低く抑えることと市場がより大きなレートの決定権をもつこととを絶妙に結びつけ、人民元切り下げに対する海外の批判を跳ね返そうとした」という指摘も出てくる。
また人民元はこれまで持続的に35%上昇している。今回の切り下げ幅は5%に過ぎず、意図的な競争的切り下げにはあたらないし、まして通貨戦争などではないことは明らかだ。今回の切り下げは人民元が実際の価値に戻っただけのことで、FRBの金利引き上げのマイナス影響に対する事前のリスクヘッジに過ぎない。
よって米国財務省でさえ、今回の人民元切り下げに対する反応は比較的穏やかなもので、中国のレート改革はさらに進歩するとの見方を示した。プラサド氏は、「中国人民銀行の基準値の変化による全面的な影響を判断するには時期尚早だが、中国はこのほど発表した変化はレート市場化で踏み出した新たな一歩だとの見方を示した」と述べた。
今後の発展を考えると、人民元切り下げが長期的なプロセスにになることはあり得ず、短期的な急速な動きになるとみられる。人民銀の易綱副総裁は、「人民銀は人民元の10%値下がりを望んでいるとの報道はまったく根拠のないものだ。人民元はまもなく上昇軌道に戻るとみられるからだ」と話す。
グローバル金融市場の激しい動きをみると、人民元の突然の切り下げが国際金融、国際経済、国際政治など多くの分野に影響を与えることは必至で、その中で利益を受ける人もいれば、損失を被ったと考える人が出てくるのもやむを得ない。米国の政治家の一部が人民元レート問題での威圧的な態度をすぐに改めるとは考えられず、レートをめぐるより激しいやりとりがまもなく展開されることは間違いない。
人民網日本語版より2015年8月20日
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