赤ん坊を産み、母親になった女性は、外に出て働く必要があるのだろうか?新時代の女性は、いかにしてワークライフバランスを取るべきなのか?この永遠のテーマをめぐり、さまざまな新たな見解が絶えず生まれ続けており、「女性経済学」というコンセプトも、その中の一つである。人民日報が報じた。
女性の就労促進は、安倍内閣が進める経済振興策の一つだ。昨年の日本における女性の就労率は66%と、欧米先進諸国より低かった。一方、日本人男性の就労率は84.9%と、ほぼ世界最高レベルだった。日本の高齢化がますます進む今の時代において、労働力不足は日本の経済社会発展を阻害する要因のひとつとなっている。ある日本の専門家は、「女性の職場進出が進めば、日本の労働力が増加するだけではなく、日本企業の経営の質も高まり、それによって経済の再生が進むであろう」と分析している。試算によると、日本における女性の就労率が80%にまで高まれば、GDP総額を13%引き上げることが可能という。
だが、この1年、安倍政権が推し進めてきた女性の就労促進による経済再生計画は、計画通りには進んでいない。高等教育を受けた日本人女性の多くは、今もなお働く意欲を持っていない。その原因を探ると、日本の職場カルチャーは、女性の就労に不利であり、男性本位の日本企業では、女性の職業上の能力を重視していないことに突き当たる。このような状況のもとで、日本の若い女性のほとんどは、自ら専業主婦になる道を選ぶ。分析によると、日本の職場において、労働時間の長さ、会社に対する忠誠度、勤続年数などで従業員を評価する傾向が変わらない限り、日本女性の就労は、永遠に、現実とはかけ離れた「絵に描いた餅」のままという。
日本の実用主義とは異なり、現代の欧米企業の多くでは、女性の就労は、企業にとっても従業員にとっても、「ダブルウィン(共勝ち)」の結果が得られ、女性の自由は、職業によって制限を受けるべきではないと認識されている。欧米諸国の職場では、「子連れ出勤」ブームが起こり始めている。赤ん坊は、これまで母親の執務中は母乳をもらえなかったが、母親または父親に連れられてオフィスに行くようになったのだ。このような職務形態を進んで実施してきた人々は、「子連れ出勤が業務効率に影響を及ぼすことは避けられないが、新しく新入社員を育成することに比べると、ベテランの子連れ社員の方が、より価値が高い。さらに重要なことは、オフィスに連れてこられた子供たちは、予想よりずっと静かに過ごしている。彼らの両親も非常に落ち着いており、企業に対する忠誠心もさらに高まっている」と指摘した。
経済社会の発展に伴い、新たに生じたのは、職業生活と家庭生活との隔離という現象だった。女性の就労率がかなり高い欧米諸国では、女性の就業の質を高め、女性が仕事と同時に家庭にも配慮できるよう環境を整え、彼女らが「仕事か家庭か」という苦しい二者択一の選択に悩むことのないよう工夫を重ねることで、職場における女性の役割をより深く理解し、より活用しつつ、経済的な利益を得ることは、各企業にとって最新の研究課題となっている。
発展途上国・地域においては、女性は基礎教育や職業訓練を十分に受けられないことから、「外に出て働くか家庭にとどまるか」という問題は存在しない。これらの地域では、女性の就労を促進することは、女の子の就学率を高め、女性の基礎職業訓練を普及し、女性が社会に入るための門戸を開くことに一役買う。インドでは、女性の就労率はまだ30%にも達しておらず、就労している女性が従事している仕事もの多くが、「非合法の」経済活動に属するものだ。つまり、労働関連法で保障されている最低賃金が支給される仕事ではない。
統計データによると、世界の労働力における女性が占める割合は、ここ20年来、約55%のレベルで停滞している。この結果は、「女性経済学」が再び見直される原因となり得る。女性の教育レベルは向上したが、就業については依然としてかなり厳しい状況が続いている。社会的な需要は、女性を就労に取り込むモードに変化しており、職業選択において、女性がより多くの自主権を握るようになった。「働かない」道を選ばず、職業生活に就いたことで罪悪感を抱く必要もなくなった。これらの職業女性が、子供の面倒を他人に任せたからといって、後ろめたさを感じる時代は、すでに過去のものとなった。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年8月21日
|