オーストラリア紙「フィナンシャルレビューレポート」はこのほど公式サイトに、日本の麻生太郎副総理兼財務大臣の写真を掲載し、「日本の財務大臣はG20各国に中国の安定化計画は具体性に欠けると訴えたが、その結果、中国でなく日本が会議で孤立することになった」とコメントを添えた。「環球時報」が伝えた。
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が今月4~5日にトルコのアンカラで開催され、麻生大臣は日本が「模範生」であることを他国に信じさせようとあれこれ画策し、「個人消費の伸びと投資の増加にともない、日本は安定した経済回復を遂げることができるだろう」と述べ、日本は財政の健全性を回復させると誓った。日本経済は莫大な政府債務のため、すでに泥沼化しているにもかかわらずだ。また麻生大臣は中国を「被告席」に座らせようとし、自ら記者に向かい、「中国に行き過ぎた投資、社会の安全システム、不良債権などの問題を解決するよう促した。それから北京(中国政府)に対し、経済管理では慎重なやり方をし、市場の行為主体との交流を確保するよう呼びかけた」と語った。
権威を利用して自分の主張を押し通そうとするのは、日本のメディアが中国を非難する時によくやるやり方だ。日本紙「読売新聞」は今月5日、「麻生氏、中国に構造改革の実施迫る」と題した記事で、「麻生副総理・財務相は、トルコの首都アンカラで4日開幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、……中国に対し、構造改革の実施を強く迫った」と伝え、「他の参加国からも『中国経済の減速は、世界にとってリスクになる』と危機感の表明が相次いだ」と報じた。報道によると、会議初日にはこれまでの順序と異なり、中国の問題が最初に取り上げられ、参加国の懸念の中心になったという。「産経新聞」は6日、「会議では、先進国が中国に構造改革を強く求め、『バブルがはじけた』と、中国側から世界経済のリスクとなっていることを認める発言を引き出すことに成功した」、「複数の同行筋によると、麻生氏が中国の構造改革の必要性を率先して主張したのに対し、中国の当局者から反論はなく、『じっくり聞いていた』という」と報じた。
それでは他国のメディアは今回の会議をどのように伝えただろうか。英国系のロイター社は6日、回り持ちで議長国を務めたトルコの見方を伝え、「G20に参加した財政経済のリーダーたちの共通認識は、中国の経済成長は7%を維持できるというものだ」と報じた。英国紙「フィナンシャル・タイムズ」は、「中国の経済政策とレート形成メカニズムの改革は5日に幅広く国際的な支持を得た。中国は多くの主要エコノミーの財務相と中央銀行総裁を説得することに成功した。人民元切り下げと新しいレート管理の計画は、より大きなレベルで市場化を達成するという目標に向けて踏み出した一歩だ」と報じた。
米国ブルームバーグ社の5日付報道は「G20は周小川中国人民銀行総裁の計画を受け入れ、中国を批判した日本は孤立した」と伝え、日本を困った立場に追いやったことは間違いない。匿名の政府関係者2人は、「麻生大臣は中国の計画を批判した唯一の参加代表だった」と話し、サウジアラビア通貨庁(中央銀行)のファハド・ムバラク総裁は、「中国の問題が誇張されている。われわれは中国が改革の道を歩んでいると確信している」と語った。また「フィナンシャルレビューレポート」は、「麻生大臣は『中国に対する見方で孤立感を感じないか』との質問に対し、『少しも感じていない』と答えた」と伝えた。
「南ドイツ新聞」が6日に伝えたアンカラ駐在記者の報道によると、麻生大臣は公開の場で中国政府を批判したが、その発言に他国の代表団が怒りを感じ、たとえばドイツ代表団は日本の財務大臣が「かなり大きな混乱」を引き起こしたとの見方を示した。カナダのジョー・オリヴァー財務大臣は中国の開放を賞賛し、「元気が出るような現象」を目にしたと述べた。欧州連合(EU)代表団のメンバーは、「低レベルのパフォーマンス」、「戦争時代の亡霊が復活した」などと述べた。また報道によると、中国経済の成長率は今は6~7%にとどまるが、日本はもっと低く、経済低迷期に入っているという。
日本国内のメディアは麻生大臣のこのたびの会議での振る舞いを賞賛するが、その目的が達せられていないことは明らかだ。「産経新聞」は6日、「G20の全体会合では中国側から構造改革の具体策は示されず、『納得感は得られなかった』(麻生氏)と失望感も漂う。金融財政当局者は『多くの国が参加するG20は議論を深める時間がなく、限界もある』とこぼした」と報じた。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年9月8日 |